電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Q17003
タイトル(和文)
腐食環境の異なる3地点における送電用鉄塔の鋼管内外の腐食速度評価
タイトル(英文)
Evaluation of corrosion rate within and outside tubular steel pipes for transmission towers in three different environments
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
[背景]
電力流通設備である送電用鉄塔において、経年による腐食劣化対策が喫緊の課題である。部材に中空鋼管を用いた中空鋼管鉄塔(以下、鋼管鉄塔)では、鋼管内面に発生する腐食は外観からは判定困難であるため、腐食が頻発する部位や、その腐食速度を予測することができれば、鋼管鉄塔の保守点検を行う上で有用と考えられる。当所ではこれまで、海浜環境における鋼管内の腐食速度を調べるとともに、鋼管内の状態の参考とするための鋼管外の腐食速度について検討した[1-2]。しかし、海塩の影響が小さい立地点における鋼管内外面の腐食予測には、海浜環境下で得られた知見を適用することはできず、海塩付着量以外の腐食因子として想定される濡れ時間に対しても腐食速度に及ぼす影響を検討する必要がある。
[目的]
送電用鋼管鉄塔の水平材を模擬した鋼管の暴露試験および気象・大気環境観測を異なる3地点の腐食環境下で実施し、鋼管内腐食速度分布および鋼管外の腐食速度を測定し、各地点の特徴を整理する。また、立地点の環境と鋼管内腐食速度の関連について明らかにする。
[主な成果]
1. 異なる腐食環境における鋼管内外腐食速度分布
成田(田園環境)、横須賀(海浜環境)、赤城(内陸環境)の3地点に、複数の大気腐食モニタリングセンサ(以下、ACMセンサ)を内部に配置した鋼管を暴露し、各地点における鋼管内腐食速度分布および鋼管外の腐食速度を得た。すべての地点において、鋼管内では端部が最大の腐食速度を示し、鋼管外と同程度であった。
2. 鋼管内端部の腐食速度と立地点の海塩量および濡れ時間との関係
鋼管内の腐食速度と腐食の主要因である海塩付着量および濡れ時間との関連性を検討した。立地点における濡れ時間および海塩付着量に対する鋼管内の最大腐食速度のプロットから、濡れ時間と腐食速度には明確な関連性は見られなかったが、海塩付着量が多くなると、鋼管内端部の腐食速度が大きくなる傾向が確認された。
概要 (英文)
The ever-increasing total of aged power transmission systems in Japan, many of which were built during the 1960s to 1980s during Japan's period of rapid economic growth, and their subsequent decline has become problematic. Steel pipe towers comprising tubular steel pipes are one such transmission tower type. The internal corrosion of steel pipe beams is a particular issue, since it may proceed while undetectable from outside. Accordingly, a means of predicting the corrosion rate and its distribution inside steel pipes would facilitate maintenance of steel pipe towers.
In this study, the atmospheric corrosion rates within and outside steel pipes were investigated in three types of environment: Narita (rural), Yokosuka (coastal) and Akagi (inland) and the corrosion rates were discussed in terms of their relevance to the external environment. The following results were obtained : (1)Concerning the distribution of corrosion rate within steel pipes longitudinally, the corrosion rate peaked at the ends of the pipes in each corrosion test. (2)For Narita and Yokosuka in which some sea salt was observed, the internal corrosion rate at the end of the pipe was about 80% of that outside the pipe. (3) The corrosion rate within the steel pipes at the end parts effectively matched the amount of sea salt deposited in the testing field.
報告書年度
2017
発行年月
2018/03
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
長沼 淳 |
材料科学研究所 電気化学領域 |
共 |
布施 則一 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
共 |
谷 純一 |
材料科学研究所 電気化学領域 |
共 |
堀 康彦 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
送電鉄塔 | Transmission tower |
鋼管 | Tubular steel pipe |
大気腐食 | Atmospheric corrosion |
ACMセンサ | ACM sensor |
海塩付着量 | Deposited sea salt |