電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Q17001
タイトル(和文)
火力発電設備の状態監視のための無線センサネットワークの構築 -第二報 通信距離の延伸と無線デバイス復旧機能の追加-
タイトル(英文)
Sensor Networks Wireless Communication for Condition Monitoring of Fossil Fuel Power Systems - Part II: Stretching of communication distance and addition of device recovery capability -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
IoTの進展とともに、低消費電力・広域通信技術による無線センサネットワークが続々と登場している。火力発電設備の状態監視においても、その活用に関する検討が進められている。当所では、無線デバイスが、他のデバイスを経由し通信することで広い範囲のデバイスと通信でき、電波伝搬環境の悪い場所に有効なマルチホップ方式に対応した920MHz帯無線センサネットワークを試作している[1]。しかしながら、発電所における伝搬および遮蔽損失などの電波伝搬環境を確認しておらず、実用化を進めるためには発電所での通信試験を実施する必要がある。
目 的
発電所における通信試験を実施し、技術的課題を抽出し、それらの解決を図る。
主な成果
1. 発電所での通信試験に基づく課題の整理とその対策
二箇所の火力発電所において、無線センサネットワークの通信試験を実施し(図1)、技術的課題を整理した。最優先に取り組むべき課題として、通信距離の延伸による中継器削減、ならびに無線デバイスに内蔵されたコンピュータの操作不能な状態からの復旧を抽出し、その対策を検討した(表1)。
2. 通信距離の延伸
無線マイコンのファームウエアに、マルチホップ方式を維持しつつ、低通信速度9.6 kbpsを追加した。この結果、従来の通信速度(50 kbps)の場合に比べ、通信距離を約1.8倍延伸できた(図2)。また、通信のタイミングを決定するために必要なマルチホップ通信の際の実効的な通信速度を明らかにした(図3)。
3. デバイス内蔵コンピュータの不具合からの復旧
デバイスに無線モジュールの汎用入出力端子により制御できるリレー回路を追加し、サーバから基地局を介してコンピュータの電源を強制的に再起動させる機能を追加した(図4)。さらに、デバイス側コンピュータのコマンドを基地局側から実行できるように改良した(図5)。これにより、不具合発生時に現地に出向くことなく迅速に復旧できるようになった。
今後の展開
無線デバイスに接続できるセンサや測定機器の種類を増やし、設置事例や運用ノウハウを蓄積するとともに、低消費電力化を進める。
概要 (英文)
In recent years, the range of wireless sensor network technologies for internet of things has expanded rapidly, whereas devices have become
cheaper. This has led to a rapid expansion in condition monitoring of systems, structures, and machinery. Condition monitoring reduces human
inspection requirements through automated monitoring, reduces maintenance through detecting faults before they escalate, and improves safety and
reliability. CRIEPI has been developed a prototype of wireless sensor network using 920 MHz multihop wireless modules to monitor the conditions of
facilities in fossil power stations. This paper presents issue and resolution when the prototype is installed to fossil power stations.
Communication range has been expanded by adding a low data rate (9.6 kbps), and end devices have improved in terms of stable continuous operation.
報告書年度
2017
発行年月
2018/01
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
福冨 広幸 |
材料科学研究所 構造材料領域 |
協 |
朱牟田 善治 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
協 |
西ノ入 聡 |
材料科学研究所 構造材料領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
火力発電設備 | Fossil Fuel Power Systems |
保守技術の省力化 | Work Saving of Repair and Maintenance |
センサネットワーク | Sensor Networks |
920MHz帯無線通信 | 920MHz Band Wireless Communication |
マルチホップ無線方式 | Multihop Wireless Networks |