電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Q16005

タイトル(和文)

処分環境条件を考慮したアルミニウムの腐食挙動の検討(その2)-湿潤保管および乾燥保管の影響-

タイトル(英文)

Corrosion Behavior of the Aluminum under the Simulated Environmental Condition of Low-Level Waste (Part 2) - Effect of wet storage and dry storage on the corrosion behavior -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
日本の商業用原子力発電所の運転に伴って発生する低レベル放射性廃棄物のうち固体状廃棄物(金属、コンクリートなど)はセメント系材料を用いてドラム缶に固型化(以下「廃棄体」)される。廃棄体の製作時点においてアルミニウムは分別・除去されるものの、その一部は廃棄体内に残存する。アルミニウムは、セメントの高アルカリ間隙水の影響によって腐食するため、水素ガスの発生源となり得る[1]。埋設施設の覆土後の安全確保にあたっては、湿潤/乾燥または脱気/空気飽和などの埋設環境の変動を考慮してアルミニウムの腐食速度を評価し、埋設処分に及ぼす影響を推定する必要がある。このため、前報にて一部の条件でアルミニウムの腐食試験を実施した[2]。
目 的
前報[2]に続き、アルミニウムの脱気条件での腐食速度に及ぼす湿潤保管の影響および空気飽和条件での腐食速度に及ぼす乾燥保管の影響を調べる。
主な成果
普通ポルトランドセメント(OPC)から作製したセメントペーストの平衡水(温度15℃、pH11.5~12.5)に純アルミニウムを浸漬し、表面に皮膜を形成させた。廃棄体製作後の乾燥状態を経て、覆土後に地下水が浸透する条件、およびその後に廃棄体内の水位変動により湿潤保管を経て再冠水する条件を想定した環境条件で皮膜形成後の試験片を浸漬し(図1)、以下を得た。
(1)脱気条件での腐食速度に及ぼす湿潤保管の影響
脱気条件の平衡水中で1回目の浸漬試験(図2(a))を実施し、真空乾燥保管を経て2回目の浸漬試験(図2(b))を実施した試験片[2]に対し、湿潤条件で保管し、再度、脱気したセメントペースト平衡水中に浸漬させた。その結果、腐食速度は、12μm/y以下で推移し、1回目の浸漬試験の開始直後にみられた極大値も認められなかった(図2(c))。
(2)空気飽和条件での腐食速度に及ぼす乾燥保管の影響
空気飽和条件の平衡水中での1回目の浸漬試験(図3(a))後の試験片[2]を、セメントペースト粉砕粒に埋め込んだまま乾燥させ、再度、空気飽和条件のセメントペースト平衡水中に浸漬させた。その結果、浸漬直後の腐食速度は50μm/y程度となるが、短時間で10μm/yあるいはそれ以下に低下し、脱気条件と同等の値となった(図3(b))。
(3)皮膜による腐食抑制機構
脱気/空気飽和条件とも試験片表面には、CaO・Al2O3などを含む外層とAl(OH)3やAlO(OH)を含む内層の二層皮膜が形成する。乾燥保管では乾燥収縮等により皮膜にき裂が生じる可能性はあるが、湿度が保たれた環境ではき裂の生成は少ないと推測された。

概要 (英文)

Aluminum alloy remains in the Low-level Radioactive Waste (LLW) generated at nuclear facilities. It is well known that aluminum reacts to the alkaline component of cement, or water, generating hydrogen gas. For the safe management of radioactive waste disposal facilities, it is necessary to evaluate the corrosion behavior of aluminum and the hydrogen generation behavior in consideration with transition of the burial environment.
In the present study, the corrosion behaviors of aluminum in the alkaline solutions at 15 ˚C were evaluated. Pure aluminum was used as specimen. The test solutions used in this study were water in equilibrium with the cement paste grain produced from ordinary portland cement (OPC). The temperature and pH of solutions were 15 ˚C and 11.5 - 12.5, respectively. In order to make a corrosion product on the surface, the specimens were immersed in the solution for about 3000 hours as pretreatment. The corrosion behaviors of pre-filmed specimen were evaluated after wet and dry storage. The wet storage before the immersion test does not affect the corrosion rate of specimens. The influence of the redox environment on the corrosion rate of specimen after dry storage was not observed. The two-layer films were formed on the specimen after the immersion tests under both conditions. Although the film might be cracked by the dry-shrinkage etc. during dry storage, it was supposed in the circumstance where the humidity was maintained that there was little generation of a crack.

報告書年度

2016

発行年月

2017/04

報告者

担当氏名所属

藤原 和俊

材料科学研究所 電気化学領域

谷 純一

材料科学研究所 電気化学領域

田中 幸久

電力中央研究所

渡辺 恵司

材料科学研究所 PDセンター

キーワード

和文英文
低レベル廃棄物 Low-level radioactive waste
アルミニウム Aluminum
腐食 Corrosion
普通ポルトランドセメント Ordinary portland cement
水素ガス Hydrogen gas
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