電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
Q11012
タイトル(和文)
改良9Cr-1Mo鋼の高温破壊の統一的モデル化の試み
タイトル(英文)
Unified modeling of high-temperature fracture of modified 9Cr-1Mo steel
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
発電プラント機器の部材は様々な多軸応力状態に置かれ、これらの設計や寿命評価においては、多軸応力の影響を考慮することが重要となることが少なくない。特に高温クリープ変形後の破壊については、静水圧応力や最大主応力などの増大によって寿命が影響を受けることが注目されており、重要性の高い材料についてその効果を把握し、健全性評価に反映すべく適切にモデル化することが求められている。本研究では、火力発電プラントで多用されている代表的な耐熱鋼である改良9Cr-1Mo鋼の母材と溶接継手について、CT試験片を用いて実施されたクリープき裂進展試験の結果を再整理し切欠き付き丸棒試験など他の結果も合わせて様々な多軸条件下での破壊特性を統一的に表現する手法を提案する。以下に主な成果を示す。
(1) き裂進展則の検討
これまでの研究で得られているクリープJ積分C*注2とき裂進展速度da/dtの関係を比較したところ、特に溶接継手において顕著な温度依存性が見られることが確認された。C*とC*/(da/dt)の関係において活性化エネルギーを用いた補正項を導入することにより、各温度下での挙動を統一的に表現できることを明らかにした。
(2) 破壊挙動の統一的モデル化
(i) クリープJ積分やき裂進展速度とローカルな破壊挙動の関係を破壊力学理論と有限要素解析によって明らかにし、これを用いて破壊までのひずみエネルギー密度の温度と非弾性ひずみエネルギー速度に対する依存性を求めた。これを母材の環状切欠き付き丸棒試験片や溶接継手丸棒試験片に対してこれまでに得られている結果と比較したところ、CT試験片ではこれらに比べてさらに小さいひずみエネルギー密度で破壊していることが確認された。さらに、これらの試験における応力3軸度(3垂直応力の和/相当応力)が大きく異なることを考慮し、温度、非弾性ひずみエネルギー速度及び応力3軸度をパラメータとしてこれらの結果を統一的に表現できる評価式を導いた。
(ii) 得られた式によって予測される延性低下率を既存評価式による推定と比較したところ、既存評価式は高温、長時間条件で延性を過大評価する傾向が認められた。
概要 (英文)
Possibility of creep rupture needs to be evaluated in design of various components operating at high temperatures. Multiaxial stress states need to be treated in many components and their proper consideration is of critical importance, in addition to the creep rupture behavior under uniaxial tension. In order to model creep rupture behavior under high stress triaxiality, creep crack growth tests on modified 9Cr-1Mo steel were analyzed in terms of temperature dependency of the relation holding between creep J-integral, C* and crack growth rate. Large temperature-dependency was observed and modeled based on thermal activation energy concept. Finite element analyses were performed to evaluate the relation between local fracture strain energy and global parameters such as C* and crack growth rate to deliver the method for transforming the latter to former. The results were compared with those obtained from other tests to lead a model to representing the dependency of fracture energy on temperature, deformation rate as well as stress multiaxiality in a unified fashion.
報告書年度
2011
発行年月
2012/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
高橋 由紀夫 |
材料科学研究所 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
クリープ | Creep |
多軸応力 | Multiaxial stress |
き裂進展 | Crack growth |
非弾性ひずみエネルギー | Inelastic strain energy |
破断延性 | Rupture ductility |