電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

Q07017

タイトル(和文)

風力発電併設蓄電システムへの各種蓄電技術の適用検討 -電池特性を考慮したエネルギー収支の分析-

タイトル(英文)

A study of application of energy storage technologies to wind power generation systems for smoothing fluctuation - An analysis of energy efficiency with regard to characteristics of batteries -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

風力発電は、発電出力が不安定なため、電力系統への連系量が制約されつつある。さらなる導入を拡大するためには、電力系統の周波数・電圧等の安定性維持、電力系統の夜間調整力(下げ代)確保が必要である。これらの対策の一つとして、風力発電への蓄電システム併設が提案されているが、実用化のためには風力発電に適合する特徴を有する蓄電池の選定が必要である。そこで、風力発電併設蓄電システムの運用条件(短周期対応と長周期対応)から抽出する要求事項と、各種蓄電技術の特徴をパラメータ化したマクロモデルを用いた蓄電システムの特性の解析により、風力発電併設用途に適応する蓄電池の要件を抽出することを試みた。
1.蓄電システムの運用条件として短周期対応(1時間幅の出力平滑化運転)、長周期対応(夜間7時間発電電力量の昼間シフト運転)を想定し、それぞれに対応した要求事項を取りまとめた。さらに各種蓄電池の特徴をパラメータ化したマクロモデルを作成した。
2.ナトリウム硫黄電池、リチウム二次電池等の各種蓄電池について、所要システム容量(W、Wh)、売電可能容量(Wh)、エネルギー収支等を提案したマクロモデルで試算し、各パラメータの影響度と蓄電池別の特徴・課題を抽出した。
(1)長周期対応には低い充電状態(SOC)での長時間待機を要求される。SOC調整充電電力量、補機消費電力量が売電可能容量(Wh)を減少させる。補機不用のニッケル水素電池はSOC調整充電の頻度低減でエネルギー収支を改善可能である。夜間7時間の発電電力を蓄電するための所要システム容量(Wh)は大きく、電池導入単価の低廉化が必須である。
(2)短周期対応の解析では電池併設初期投資費用が売電金額に対する割合(平滑化コスト割合:売電単価10円/kWh、10年運転想定)を指標とし、電池導入単価、風力発電利用率から試算した。良好な風況条件下であれば高効率な充放電が期待できるリチウム二次電池は低コスト化により適用性が高くなる。
3.上記2の結果のように、蓄電システムの特性を比較し適用可能性を明らかにした。長周期対応では、ナトリウム硫黄電池は補機消費電力量が大きくなるためシステム効率向上が課題であり、リチウム二次電池は充放電効率が高いことからエネルギー有効利用が可能である。また短周期対応では、高率充放電可能で補機を必要としないニッケル水素電池、リチウム二次電池が有利である。

概要 (英文)

We analyzed requirements for energy storage systems for smoothing long- or short-term fluctuations of wind power, and proposed a macro analysis model of energy storage system (BES). We built into the macro model characteristics of batteries, such as sodium-sulfur battery, vanadium redox-flow battery, lead-acid battery, nickel metal hydride battery and lithium secondary battery, and so on. By using the macro model, we try to calculate BES capacity (W, Wh), output energy to grid (Wh), energy efficiency, etc. In the case of smoothing long-term fluctuations, battery shall be staying at low state of charge level for a long period. Full charge operation for maintenance as well as auxiliary losses is sensitive seriously to energy efficiency of BES and output energy to the grid. In the case of smoothing short-term fluctuations, we evaluated Smoothing Cost Ratio, which defined as the ratio of battery installation cost to fee of output electricity to the grid. Under good wind conditions, lithium secondary battery with good energy efficiency shows good performance.

報告書年度

2007

発行年月

2008/10

報告者

担当氏名所属

三田 裕一

材料科学研究所 材料物性・創製領域

小林 陽

材料科学研究所 材料物性・創製領域

宮代 一

材料科学研究所 材料物性・創製領域

寺田 信之

材料科学研究所 材料物性・創製領域

七原 俊也

システム技術研究所 需要家システム領域

由本 勝久

システム技術研究所 需要家システム領域

池谷 知彦

材料科学研究所

キーワード

和文英文
風力発電 Wind power generation
出力安定化 Smoothing fluctuation
蓄電池 Energy storage battery
エネルギー効率 Energy efficiency
再生可能エネルギー Renewable energy
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