電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

O20008

タイトル(和文)

相非分離高圧母線用バスダクトにおける高エネルギーアーク故障(HEAF)評価試験

タイトル(英文)

Experimental Studies of HEAF (High Energy Arcing Fault) Event for segmented High Voltage Bus Ducts

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
電力中央研究所では、既報において低・高圧電気盤の内部アーク試験を行い、アークエネルギーarc(アーク電圧とアーク電流のそれぞれの瞬時値の積をアーク継続時間にわたり積分した値)や周囲に到達する瞬間的な熱エネルギーtotal,を取得し、HEAF火災発生防止評価式を提案した。一方、国内において、相非分離高圧母線用バスダクト(HVBD)を対象とした内部アーク試験の試験例はなく、HVBDのHEAFによる影響範囲(ZOI)に関しても、知見が十分でない。
目 的
HVBDを用いた内部アーク試験を行い、arcやガス塊の噴出挙動の知見を取得するとともに、周辺機器(ケーブルトレイや電気盤)に対する熱的または電磁的な影響を評価する。さらに、HEAF発生時のarcとケーブルの損傷(着火)に着目したZOI評価式を提案する。
主な成果
HVBD(母線材質:銅またはアルミニウム,内容積:1.37 ~ 1.53 m3)を用いて、国内のHEAF火災発生防止対策を考慮した高圧電気盤で想定される三相短絡電流条件下の内部アーク試験(発弧箇所:HVBD中央部付近)を実施し、以下の成果を得た。
1. 内部アーク試験
通電時間arcを最大1.74秒、三相短絡電流条件(18.9 kA)における電圧や電流を測定し、アークエネルギーarcやアーク電圧arcを求めた。arcの平均値は銅母線0.576 kV、アルミ母線0.781 kV(対地電圧の三相合計値)となった。また、ガス塊によるZOIを球と頂角30°の円錐でモデル化するための技術的な知見を得た。本試験の範囲では、HVBD直下のケーブルと蓋付ケーブルトレイ内ケーブルの絶縁性能を損なう熱的な損傷、電気盤内部の熱的な損傷と制御信号への電磁的な影響はなかった。
2. HVBDのHEAFを対象としたZOI評価手法の提案
(1) arcと発弧箇所から評価点までの直線離隔距離を用いたtotal,実験式
大気開放条件下のアーク試験で測定したarcとtotal,を用いて、total,の実験式を構築した(式(1))。なお、(-)はarcのうちtotal,として伝達される割合である。
total,=(arc)/(4^2) ...........(1)

(2) ケーブルの損傷(着火)に着目したZOI評価式
HEAFに対するケーブルの損傷(着火)しきい値damageを用いて、ZOI設定距離allowable(m)の評価式を提案した(式(2))。
allowable=((arc)/(4damage))^(1/2) ..........(2)

概要 (英文)

HEAF (High Energy Arcing Fault) events have occurred world-widely in nuclear power plants. HEAF has a potential to cause extensive damage to distribution systems and electrical components nearby an initial arcing location. Due to characterization of more realistic HEAF zone of influence (ZOI), we executed internal arc tests using full-scale segmented (non-isolated phase) HVBD (High Voltage Bus Duct) with copper or aluminum bus bars. The HEAF consequences such as arcing current, voltage, internal pressure and incident energy were measured during the tests. In case of copper bus bars, the arcing energy where was discharged in 1.28 s using three-phase short-circuit current with 18.9 kA reached to 12.8 MJ. In contrast, the arcing energy of HVBD with aluminum bus bars reached to 16.5 MJ under the same test conditions. The difference suggested the possibility where HEAF events involving aluminum induce more severe HEAF consequences to surrounding equipment damage. In this test series, there was no catastrophic damage like a secondary ignition to component, such as a cable, a solid cable tray and an energized electrical cabinet. Moreover, control signals on the electrical cabinet were monitored during one of the tests, there was no effect of electromagnetic noise. By using the results, we proposed an empirical formula and cable damage criteria to predict the HEAF ZOI for segmented HVBDs.

報告書年度

2020

発行年月

2021/05

報告者

担当氏名所属

田坂 光司

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

宮城 吏

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

長田 泰典

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

白井 孝治

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

池 正熏

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

岩田 幹正

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

佐多 大地

地球工学研究所 バックエンド研究センター

宇田川 敏子

WDB株式会社

キーワード

和文英文
高エネルギーアーク故障 High Energy Arcing Fault
高圧母線用バスダクト High Voltage Bus Duct
内部アーク試験 Internal Arc Test
影響範囲 Zone of Influence
損傷基準 Damege Criteria
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry