電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
O20006
タイトル(和文)
損失エネルギーに基づく岩ずり埋立地盤の液状化特性評価
タイトル(英文)
Evaluation of liquefaction characteristics of rock debris in reclaimed ground based on dissipated energy
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
・背景
原子力発電所の新規制基準適合性審査においては、地盤の液状化判定および液状化の発生が懸念される場合はその影響評価が必要となっている。基準地震動が増大しているため、従来液状化しないと考えられてきた密な岩ずり埋立地盤でも液状化の発生が否定できない場合がある。しかし、岩ずり地盤を対象とした要素試験や模型実験の事例が少ないことから、合理的な評価は必ずしも容易ではない。
近年、エネルギー的観点から地盤の液状化評価を試みる研究が精力的になされており、エネルギー的指標を用いて地盤の過剰間隙水圧やひずみの発達度合いを一意的に評価できる可能性が示されている。ただし、これまでの研究対象は砂質土が主体であり、密詰めの岩ずりへの適用性検証は不十分である。
・目的
岩ずりによる密な埋立地盤を対象として、非排水繰返し大型三軸試験と遠心力模型実験ならびに全応力非線形解析を実施し、エネルギー的指標を用いた岩ずり地盤の液状化判定法や液状化後の沈下量評価法の適用性を明らかにする。
・主な成果
1. 非排水繰返し大型三軸試験(直径300mm×高さ600mm)
損失エネルギー注1)が0.02~0.04で過剰間隙水圧比が約1.0まで上昇するという、砂質土を対象とした既往研究と合致する結果を得た。また、損失エネルギーと液状化後の排水によって生じる残留体積ひずみについて相関が良いことを確認し、関係式を提示した。
2. 遠心力模型実験
密詰めの岩ずり地盤でも、1Gを超える加振によって全層にわたって過剰間隙水圧比が1.0近くまで上昇するものの、液状化後の残留沈下量は1%以下と小さな値であった。
3. エネルギーに基づく液状化特性評価
上記の遠心力模型実験を対象とした全応力非線形解析から得られる損失エネルギーと大型三軸試験から得られる関係式により、過剰間隙水圧比や沈下量を保守的に評価できることが分かった。
以上より、密な岩ずり地盤に対して、エネルギーに基づく液状化判定法や液状化後の沈下量評価法の適用が可能であることを明らかにした。
・今後の展開
本研究で用いた評価手法が規則波だけでなく、不規則波にも適用できるかを検証する。
概要 (英文)
Liquefaction assessment is necessary to evaluate the seismic stability of ground foundations under new regulatory requirements for nuclear power plants. The evaluation of the liquefaction potential of rock debris or gravelly soil, conventionally regarded as non-liquefiable soil, is necessary since standard ground motion becomes stronger. In this study, a series of large undrained cyclic triaxial tests, centrifugal model tests, and nonlinear total stress analysis were conducted for rock debris in order to evaluate its liquefaction characteristics based on energy-based method. The results demonstrate the applicability of the energy-based method to rock debris; the excess pore water pressure ratio was nearly 1 when the dissipated energy was in the range of 0.02-0.04 in triaxial tests and centrifugal model tests, which was almost consistent with the result obtained from the sandy soil. The volumetric strain as a result of reconsolidation after liquefaction had a strong relationship with the dissipated energy. The dissipated energy calculated by the nonlinear total stress analysis can predict the occurrence of the liquefaction and conservatively evaluate the settlement of centrifugal model tests.
報告書年度
2020
発行年月
2021/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
沢津橋 雅裕 |
地球工学研究所 地震工学領域 |
共 |
石丸 真 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
液状化 | Liquefaction |
岩ずり | Rock debris |
遠心力模型実験 | Centrifugal model test |
損失エネルギー | Dissipated energy |
体積ひずみ | Volumetric strain |