電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
O20003
タイトル(和文)
叙事知に重点を置いた人間信頼性解析(HRA)の定性分析ガイド (2020年度版)
タイトル(英文)
Guide for Qualitative Analysis in the Human Reliability Analysis (HRA) with Emphasis on Narratives (FY 2020 Edition)
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
確率論的リスク評価(PRA: probabilistic risk assessment)の技術向上の一環として、人間の対応失敗の評価を定量的に扱う人間信頼性解析(HRA: human reliability analysis) 注39F39F39F39F )の高度化の必要性が高まり、電力中央研究所は2018年度に「叙事知に重点を置いたHRAガイド[1]」を発行した。このガイドにより、HRAの対象となるタスクについて現実を適切に反映した評価が可能となった。しかしながら、PRAで対象とする事故シナリオ全体に含まれるタスクの数は膨大となる。また、事故シナリオによっては、同時並行的に行われるタスクなどの影響も受ける可能性がある。このため、事故シナリオを理解した上で、現場確認や聞き取りに基づく詳細定性分析を行う対象となるタスクを決める必要がある。
目的
効率的かつより現実を適切に反映したHRAを実施するために必要な、詳細定性分析を行うタスクの選定方法、ならびに、事故シナリオを理解するための要件を明確化するとともに、これらを踏まえて上記ガイドを改定する。
主な成果
(1)詳細定性分析対象タスクの選定方法の整備
①炉心損傷への寄与度やPRAの重要度指標等を用いた重要タスクの定量的な選定方法、及び、①の選定結果の妥当性を定性的に判断するための②HRAチームの専門家の判断を利用する選定方法を整備した。これにより、詳細定性分析に必要なマンパワーをリスク上重要なタスクに集約することが可能となる。
(2)事故シナリオを理解するための要件の明確化
要件として、①PRA専門家だけでなく、HRA実務者や訓練担当者/運転員・作業員、その他必要に応じた専門家も交えて事故シナリオを検討すること、ならびに、②「起因事象」、「システムや人間の初期条件注 )」、「タスク状況(タスクを行う場面での各種制約条件など)」、「時間情報(タスクの制限時間など)」をHRAに必要な情報として収集すること、を明らかにした。これにより、複数のタスクが同時並行的に行われるような複雑な事故シナリオに対しても、タスク実施に当たっての現場の実態を的確かつ具体的に把握することができ、より現実を適切に反映したHRAが可能となる。
(3)ガイドの改定
上記(1)(2)に基づき、「叙事知に重点を置いた定性分析を含むHRAの全体像」を整理するとともに、本報告「叙事知に重点を置いたHRAの定性分析ガイド」を取りまとめた。これにより、マンパワーを適切に配分して、効率的かつより現実を適切に反映したHRAが可能となる。
概要 (英文)
As a part of the technological improvement of probabilistic risk assessment (PRA) methods, it is necessary to improve human reliability analysis (HRA) that quantitatively assesses the probability of human errors. As a more realistic HRA methodology, the Nuclear Risk Research Center published "The Human Reliability Analysis (HRA) Guide with Emphasis on Narratives" (CRIEPI Report O18011) in FY2018. Although the guide has provided a methodology for more realistic HRA, the HRA methodology requires huge amounts of manpower. It is necessary to organize a screening method that distinguishes tasks that should be subjected to detailed qualitative analysis.
This revised guide organized screening methods using (1) the quantitative screening based on the contribution to core damage and the importance index of PRA and (2) the judgment of subject matter experts to qualitatively determine the validity of the quantitative screening results. Besides, for more realistic HRA, this guide organized the requirements for appropriate understanding of accident scenarios that are required for appropriate understanding of the actual situations when conducting a task. These revisions are expected to useful for conducing more realistic HRA through prioritizing tasks for detailed qualitative analysis.
報告書年度
2020
発行年月
2021/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
桐本 順広 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
野々瀬 晃平 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
弘津 祐子 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
佐相 邦英 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
人間信頼性解析(HRA) | Human Reliability Analysis (HRA) |
定性分析 | Qualitative Analysis |
叙事知 | Narrative |
人的過誤事象(HFE) | Human Fairure Event (HFE) |
事故シナリオの文脈 | Accident Scinario Context |