電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
O19006
タイトル(和文)
機械換気条件下のケーブルトレイ火災モデルの開発―ゾーンモデルへのケーブルトレイ火源モデルの導入―
タイトル(英文)
Development of Cable Tray Fire Model under Mechanically Ventilated Condition -Introduction of Cable Tray Fire Source Model into Zone Model-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
原子力発電所を対象とした火災PRAの実施においては、現実的な火災シナリオや火災影響評価のため、補機油、ケーブル、電気盤等を火源とする複数区画の火災を想定する必要がある。特に、ケーブルの被覆材は多様な樹脂系材料で形成され、その内部構造も複雑なことから、ケーブル火災を対象とした火源設定を一般化した火災モデルの開発が求められている。例えば、当所が参画したPRISME2では、ケーブルの種類、ケーブルトレイの段数やレイアウト、着火源強度、試験区画の換気条件等をパラメータとした実大規模の火災試験により、ケーブルトレイ火源の特性評価が実施されている。
目 的
ケーブルトレイ火源モデルを適用したゾーンモデルBRI2002により、PRISME2で取得した試験データを用いて、火源の発熱速度や燃焼時間の予測精度を評価する。
主な成果
PRISME2試験で実施された5段積み水平ケーブルトレイ(試験体:難燃性ケーブル,導体断面積:2 mm2,心数:8心,質量:320 g/m)の実大規模火災試験(図1)に対する検証解析を行い、以下の知見を得た。
1. 大気環境下におけるケーブルトレイ火源モデルの適用性
ケーブルトレイの上方向と水平方向に対する火炎伝播、およびケーブル可燃物の燃え尽きを考慮した火源モデル(図2)に対して、既往試験データに基づく入力パラメータを設定し、算出した発熱速度と試験値の比較により火源モデルの適用性を確認した(図3)。
2. 換気制限下におけるケーブルトレイ火源モデルの予測精度
(1)換気制限下の区画火災時に発生する、火源近傍の酸素濃度の低下による発熱速度の抑制効果を考慮するため、既報で提案した酸素濃度依存モデルを適用し、発熱速度の低下や燃焼時間の延長など、区画火災性状を反映するための解析機能を追加した。
(2)PRISME2試験データを用いて検証解析を実施した結果、着火直後の発熱速度は概ね再現されているものの、区画火災の進展に伴う未燃焼ガスの不規則な燃焼に起因する発熱速度の擾乱や減衰傾向は再現されていない(図4)。
今後の展開
ケーブルトレイ火源の火炎伝播や燃え拡がり速度をモデル化し、区画火災時の未燃焼ガスや煤煙に関する化学反応過程を考慮することで、現実的なモデルを開発する。
概要 (英文)
As fire behaviors in a confined and mechanically ventilated compartment have not been fully investigated, it is necessary to accumulate the basic knowledge to assess such an internal fire risk in nuclear installations. This report describes the experimental results of multi-cable trya fire tests, which were performed in the framework of the OECD Nuclear Energy Agency programs PRISME2. During the fire tests, the mass loss for fuel, gas and soot mass concentration, gas temperature, and so on were measured. As a fire prediction model predicting fire characteristics in a compartment, a two-zone model BRI2002 has been developed in Japan. In this report, based on recent knowledge for the cable fire modeling, BRI2002 was improved to be applicable to the assessment of nuclear facilities. Central Research Institute of Electric Power Industry (CRIEPI) introduced the cable tray fire source model FLASH-CAT (Flame Spread over Horizontal Cable Trays) developed by NIST into BRI2002. By comparing the numerical results with the experimental values measured during a test, the methodology for current fire modeling on ignition time delay of each tray and horizontal flame propagation speed for each tray were discussed.
報告書年度
2019
発行年月
2020/03
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
田坂 光司 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
白井 孝治 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
池 正熏 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
長田 泰典 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
宇田川 敏子 |
WDB株式会社 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
ケーブルトレイ火源モデル | Cable tray fire source model |
水平ケーブルトレイ | Horizontal cable tray |
火炎伝播 | Flame propagation |
二層ゾーンモデル | Two zone model |
火災モデリング | Fire modeling |