電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
O19004
タイトル(和文)
鉄筋コンクリート製地中構造物の耐震性能照査法の高度化(その5)- 地盤・構造物連成系の三次元材料非線形解析を用いた地震応答評価手法の適用性検討
タイトル(英文)
Development of Advanced Earthquake Resistant Performance Verification on Reinforced Concrete Underground Structure Part V - Applicability of evaluation method based on 3D Material Nonlinear Analysis with Soil-Structure Interaction -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
2011年東北地方太平洋沖地震の発生以降,基準地震動が増大していく趨勢にあることから,原子力発電所非常用冷却施設を構成する鉄筋コンクリート製(RC)地中構造物においても耐震性能照査の合理化・高度化が求められていた。このためには,従来の二次元材料非線形解析を三次元に拡張することが必要となっていたが,地盤・構造物連成系の地震応答評価への適用性が明確になっているとは言い難く,耐震性能照査への適用事例もほとんどない。
目 的
地盤・構造物連成系の地震応答解析に用いる三次元材料非線形モデルの適用性を検証した上で,代表的なRC地中構造物に適用して地震時挙動を明らかにする。
主な成果
地盤・構造物連成系の三次元材料非線形解析には,地盤に全応力・履歴依存型のRamberg-Osgoodモデル,構造物に鉄筋コンクリートとしての材料非線形性が考慮された分散ひび割れモデルを適用した。地盤・構造物間の境界部は離接および滑りをジョイント要素で考慮した。解析プログラムには,汎用解析コードCOM3を使用した。
1. 実験結果の再現解析に基づく検証
地中に埋設された条件下で面内力と面外力を同時に受けるRC構造物に対する適用性を確認するために,せん断土槽に埋設された立坑型RC試験体の振動台実験に対するシミュレーション解析を行った。解析の結果,本解析で用いたモデル化手法により,地盤と構造物の全体応答,ひび割れ状況や鉄筋降伏などの局所的な損傷状況を構造物変形が弾性から塑性領域に至るまで概ね良好に評価可能であることを確認した。
2. RC地中構造物の地震応答評価
実条件を想定した妻壁構造を有するボックスカルバート構造物などを対象として,三次元形状や地震動の入力方向に着目した解析的検討を行った。この結果,せん断剛性の差異の影響で二次元解析とは異なる損傷状況が生じる部位があることには留意する必要があるものの,耐震性能照査に用いる構造物の応答変位を現実的に評価可能であることが確認された。また,二次元解析で対象とするせん断剛性の小さい横断面方向に地震動を入力した場合に構造物の地震応答が大きくなることなどが分かった。
今後の展開
耐震性能照査に用いる合理的な照査指標について検討するとともに,地盤・構造物連成系の三次元材料非線形地震応答解析を用いた照査手法の実用化を図る。
概要 (英文)
With the magnification of reference earthquake ground motion resulting from safety reviews on nuclear power related facilities after the Great Tohoku earthquake, it is necessary to upgrade the conventional conservative evaluation for seismic safety. This paper discusses the applicability of 3D nonlinear analysis with soil-structure interaction to seismic response evaluation on reinforced concrete underground structures.
In order to validate the 3D dynamic analysis model having nonlinear constitutive rules of RC material, the test results of a RC specimen with a square hollow section obtained from the shaking table tests were numerically simulated. As a result, the global response such as ground displacement or the local damage such as crack patterns of the model structure and so on were in close agreement with the experimental results. With this in mind, the analysis model will be suitable for soil-structures interaction analysis of those type RC structures in view of practical accuracy as well as computational efforts.
The numerical analyses of RC duct structure with junction and RC pit structure with gable end wall, which were selected as existing structural profiles in a nuclear power plant, were carried out to assess the seismic response of those structures Consequently, we demonstrated that the use of a 3D nonlinear analysis will provide a more realistic response rather than a familiar 2D analysis among design engineers.
報告書年度
2019
発行年月
2019/12
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
松尾 豊史 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
共 |
島端 嗣浩 |
東電設計(株) 土木本部 耐震技術部 構造耐震グループ |
共 |
宮川 義範 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
共 |
大友 敬三 |
電力中央研究所 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
RCボックスカルバート | RC box-culvert |
せん断土槽振動実験 | Shear-Soil-Box Vibration Test |
地盤・構造物連成 | Soil-Structure Interaction |
材料非線形 | Material Nonlinearity |
耐震性能照査 | Seismic Performance Verification |