電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
O19003
タイトル(和文)
竜巻飛来物衝突を受ける鋼板の耐貫通性能に関する研究-BRL式の適用性に関する基礎検討-
タイトル(英文)
Study on perforation resistant performance of steel plate subjected to tornado missile - Fundamental investigation on applicability of BRL formula -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
竜巻飛来物の衝突を想定した鋼板構造物の構造健全性を評価する手法の一つに、部材厚が貫通限界厚さを上回ることを確認する方法があり、既往の鋼板貫通限界厚評価式として主にBRL式が用いられる。一方、BRL式の根拠となる文献は非公開であり、BRL式への入力方法、各衝突条件による影響、竜巻飛来物への適用性が明確ではない。
目 的
飛翔体を軟鋼板に衝突させる鋼板貫通試験(以下、貫通試験)を実施し、衝突パラメータのBRL式への入力方法、耐貫通性能に及ぼす影響、竜巻飛来物へのBRL式の適用性を評価する。
主な成果
高速貫通試験設備を用いて飛翔体質量(6.0~11.5kg)、衝突部形状(円柱, 剛パイプ, 四角形, 六角形)、衝突速度(29.9~70.8m/s)、鋼板板厚(4.5~9mm)、材質(SS400, SM490, SM520)を変化させた貫通試験を実施し、以下の知見を得た。
(1)衝突パラメータのBRL式への入力方法と鋼板耐貫通性能に及ぼす影響
・衝突部形状:接触面積の異なる剛パイプと円柱では鋼板の衝突時挙動、耐貫通性能に明瞭な差は見られず、接触面積の影響は小さいことが明らかになった。多角形衝突部では衝突痕隅角部に鋼板変形が集中し、円形状衝突部に比べて過酷な衝突条件となること、外周長さが等価な円断面の直径をBRL式に入力することで、多角形衝突部についてもBRL式は鋼板の耐貫通性能を保守的に評価可能であることが示された。
・鋼板材質:SM490、SM520はSS400以上の耐貫通性能が見られた。SM520はSM490に比べ耐貫通性能は下回る結果となり、材料強度と吸収エネルギーの両方が耐貫通性能における重要な指標になるものと推察された。BRL式の材料定数Kの範囲を推定したところ、SM490では1.14未満、SM520では1.07~1.10と推定される試験結果を得た。
(2)竜巻飛来物へのBRL式の適用性:多角形衝突部を使用した試験も含め、実施した全試験ついてBRL式による評価結果と比較したところ、いずれもBRL式の評価結果と一致した。これより、竜巻飛来物衝突を想定した本試験において、BRL式は鋼板の耐貫通性能を保守的に評価可能であることが明らかとなった。
今後の展開
貫通試験結果を拡充し、同一材質の製作ロット間の強度のバラツキによる耐貫通性能への影響を確認するとともに、大口径飛来物への適用を見据え、鋼板の耐貫通性能評価を精緻化するための衝撃応答解析による評価方法の確立を目的とした研究を推進する。
概要 (英文)
In structural integrity evaluation of steel plate structures, the empirical formula called BRL (Ballistic Research Laboratory) formula to estimate the minimum thickness to prevent the perforation of steel plate due to missiles is currently used. However, as the technical bases for these methodologies are not disclosed, the accumulation of knowledge is required to confirm the applicability of these methodologies for the tornado missile impact.
In this report, in order to clarify the applicability of BRL formula and the perforation conditions of the steel plate when the tornado missile strikes the steel plate, steel plate perforation tests in which impact velocity, projectile mass, impact part shape and steel grade changed were carried out using impact test facility using high speed projectiles. From the test results, it was confirmed that the all test results (penetrated, non-penetrated) coincided with the evaluation by the BRL formula, and input method of impact parameter to the formula. In addition, the material constant K in the BRL formula for SM490 steel was estimated to be less than 1.14 by test results.
報告書年度
2019
発行年月
2019/11
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
南波 宏介 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
共 |
佐多 大地 |
地球工学研究所 バックエンド研究センター |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
竜巻防護設備 | Tornado protection structure |
竜巻飛来物 | Tornado missile |
鋼板 | Steel plate |
耐貫通性能 | Perforation resistant performance |
BRL式 | Ballistic Research Laboratory formula |