電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

O19001

タイトル(和文)

並列計算機を用いた鉄筋コンクリート構造物のフラジリティー評価ツールの開発

タイトル(英文)

Development of a fragility evaluation program for reinforced concrete structures with parallel computer

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

【背景】
2011年の東北地方太平洋沖地震における福島原子力発電所の事故を契機として、発電所全体の総合的な安全性評価の必要性が認識され、その代表的アプローチであるPRA(Probabilistic Risk Assessment)の実用性の向上が模索されるようになった。PRAの過程において、構造技術者にはフラジリティー(事象の規模と構造物の損傷確率の関係)の算出が求められる。より合理的な結果を得るには材料非線形性を考慮した詳細な構造解析が必要となるが、計算量の著しい増大と、それに伴う処理の煩雑化が実用性を損なう一因となっている。
【目的】
大規模並列計算の可能な構造解析プログラムを用いて、鉄筋コンクリート構造物の非線形挙動を考慮したフラジリティーの評価支援(省力化)環境を構築する。
【主な成果】
1. フラジリティー評価プラットフォームefippの開発
efippは、以下の4工程に対応するプログラムで構成され、これらを順次実行することでフラジリティーが得られる。構造解析プログラムには、別途開発が進められているE-FrontISTRを用いた。
(a)基本ケースの入力ファイルと幾つかの因子の不確定性に関する情報を基に、複数のばらつきケースの入力ファイルを自動的に生成する。
(b)構造解析と同時進行で、解析出力の中から評価に必要となる部分の抽出と鉄筋コンクリート構造特有の変形指標の演算を行い、選択的にデータを保存する。
(c)複数のばらつきケースの解析結果に基づいて、不確定因子と構造物の応答との関係を定式化・図化する。
(d)(c)を基に、モンテカルロ法などを用いてフラジリティーを算出する。
2. 鉄筋コンクリート構造物を対象とした地震フラジリティーの試解析
地盤-建屋連成系を例として、変形指標に基づく地震フラジリティーを試算した。並列計算による計算時間の減少と、efippによる出力量の抑制および省力化の効果として、百万自由度級のモデルによるフラジリティー評価が実用的な水準で実施可能になることを示した。
【今後の展開】
efippはプロトタイプであり、対応できる不確定因子などをニーズに応じて拡張する。また、E-FrontISTRの開発の進捗に合わせて、地盤や地盤-構造物境界の非線形特性を考慮したより信頼性の高い評価事例を示す。

概要 (英文)

The accident of the nuclear power stations in the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake made us recognize the necessity of the total safety evaluation which is not focusing a single structure. As a representative approach for overall viewing, Probabilistic Risk Assessment is facilitated recently. However, fragility evaluation, which is the contribution from structural mechanics in PRA, often requires a lot of calculation. Then, a solution for the improvement of practicality is introduced using parallel computing in the present report.
The package named "efipp" provides post-processing programs for fragility evaluation based on a large-scale non-linear structural analysis program E-FrontISTR. It is constituted of four major parts each of which is corresponding to the following functions: (i)Plural sets of input data reflecting uncertainty are generated automatically from one set of input data for a basic case. (ii)Plural cases of structural analysis are conducted under the monitoring of the specified indices, like shear component of story drift or minor principal strain of a corner element, and unnecessary data is removed to suppress the amount of output. (iii)After a series of structural analysis is completed, a performance function is formulated as a polynomial with uncertain factors and it is graphed for visualization. (iv)Fragility is derived based on the function of (iii) with one of round-robin method, Monte Carlo method, Latin hypercube sampling. The normal operation was confirmed through the trial with a million DOFs ground-structure coupled solid model.

報告書年度

2019

発行年月

2019/09

報告者

担当氏名所属

宮川 義範

原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム

キーワード

和文英文
確率論的リスク評価 Probabilistic risk assessment
原子力発電所 Nuclear power station
並列計算 Parallel computing
大規模解析 Large scale analysis
材料非線形性 Material non-linearity
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry