電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
O18011
タイトル(和文)
叙事知に重点を置いた 人間信頼性解析(HRA)ガイド(2018年度版) -定性分析方法ならびに過酷状況下タスク分析モデルの開発-
タイトル(英文)
-The Human Reliability Analysis (HRA) guide with emphasis on the narrative (2018) -Development of qualitative analysis methods and analysis models for tasks on extreme conditions-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
2011年の福島第一原子力発電所事故を契機に、確率論的リスク評価技術向上の一環として、人間信頼性解析(HRA: human reliability analysis)には、地震や津波などへの対応として行われる過酷状況下でのタスク(過酷状況下タスク)の人的過誤率の評価が求められている。一方、HRA注1)の実施に当たっては、定性分析で人間のタスクが行われる状況を具体的に把握することの重要性が指摘されている。しかし、これらの課題に対応できる実用的なガイドは、これまで開発されていない。
目 的
タスクを行う人間に影響するプラント固有、シナリオ固有の状況を「叙事知(Narrative)」注2)として収集・集約する定性分析方法を開発するとともに、過酷状況下タスクのHRAを行うための分析モデル、分析ノウハウを整備しHRAガイドとして取りまとめる。
主な成果
HRAの定性分析を充実させるための「叙事知に重点を置いたHRAガイド」(表1)を開発した。
(1) 叙事知に重点を置いたHRAの定性分析方法の具体化
具体的な叙事知を「タスク構造情報」(プラント条件、兆候など)、「時間進展情報」(操作に必要な時間など)、「行動形成因子情報」(警報の見やすさ、手順書のわかりやすさなど)の3つの形式で収集・集約する様式を開発した。表2に「タスク構造情報」の収集項目と集約様式の例を示す。これにより叙事知の収集・集約を効率的に実施できるようになった。
(2) 過酷状況下タスクの分析モデル及びノウハウの整備
過酷状況下タスクの特徴(複数チームによる協働作業、屋外現場作業、繰り返し作業など)を踏まえてHRAを行うための分析モデル及びノウハウを整備した。例えば、新たに開発したタスクタイムライン図(図1)を用いることで、複数のチームが異なる屋外現場で協働しながら進める複雑なタスク(例:可搬式緩和設備の活用)のHRAを要素タスクごとのHRAとして扱う必要性を明らかにできる。このような分析モデル及びノウハウを使うことで、より現場の実態に即したHRAが可能となった。
概要 (英文)
After Fukushima Daiichi Nuclear Power Station Accident in 2011, Probabilistic Risk Assessment (PRA) has been improved including HRA for tasks performed under extreme conditions (such as response to external events and operations using portable mitigation equipment) as well as for internal event even in Japan. Accordingly, HRA requires estimates of various work environments such as outdoor work in an environment affected by an external event in addition to those which are performed mainly in the main control room. Due to this background, understanding specific situations in which tasks are performed by operators is becoming more important.
Nuclear Risk Research Center (NRRC) Central Research Institute of Electric Power Industry (CRIEPI) has published this guide that compiles qualitative analysis methods to collect plant-specific and scenario-specific conditions that affect human performance as "narratives," reflecting the latest research trend, and models for analysis on extreme conditions.
報告書年度
2018
発行年月
2019/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
桐本 順広 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
野々瀬 晃平 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
弘津 祐子 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
佐相 邦英 |
原子力技術研究所 |
協 |
早瀬 賢一 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
協 |
武田 大介 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
協 |
廣瀬 文子 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
人間信頼性解析(HRA) | Human Reliability Analysis (HRA) |
過酷状況 | Extreme Condition |
叙事知 | Narrative |
人的過誤確率(HEP) | Human Error Probability (HEP) |
人的過誤事象(HFE) | Human Failure Event (HFE) |