電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
O18005
タイトル(和文)
遠心模型実験による地盤内の断層発達過程に関する基礎的研究
タイトル(英文)
Fundamental study on fault development process in the ground by centrifugal model experiment
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
大規模な内陸地震が発生すると、地震動だけでなく、地表に生じる断層変位によっても土木構造物が被害を受ける場合がある。地表付近の地盤内の断層発達過程の把握には有限要素解析は有用であるが妥当性確認が必要である。実物を対象とした断層変位解析の多くでは、境界条件等が不明であるなど不確実性の大きい実地震を対象に検証がなされており、境界条件等が明らかな模型実験での検証も必要である。既往の模型実験では粘着力ない材料を用いた重力場での実験が多く、地盤内の断層発達過程に及ぼす地盤の粘着力および拘束圧の影響は不明な点が多い。
目 的
遠心模型実験を行い、地盤内の断層発達過程への粘着力および拘束圧の影響を検討し、有限要素解析の妥当性確認を行う。
主な成果
1. 遠心模型実験による地盤内の断層発達過程への粘着力・拘束圧の影響の把握粘着力のない豊浦砂と、ステンレス・砂鉄・水を質量比40:30:1 で混合した粘着力のある混合材(粘着力7kPa)を用いて地盤を作製し、1G 場と遠心加速度50G 場で、傾斜角60 度および75 度で逆断層的に強制変位を与え、地盤内の断層発達過程を調べた(図1)。その結果、粘着力のない豊浦砂よりも粘着力のある混合材の方が拘束圧の影響を受け、拘束圧が大きい場合にせん断破壊の生じた幅が狭くなることが明らかとなった(図2)。また、この影響は傾斜角度が急な75 度の方が顕著であった。
2. 有限要素解析の妥当性確認
地盤内の断層発達過程を評価するため、有限要素解析により模型実験のシミュレーションを行った。その結果、耐震性評価*1 と同様に、せん断破壊と引張り破壊および破壊後の応力再配分を適切にモデル化することにより、模型実験の断層発達過程を精度よく再現することができた(図3)。
今後の課題
破壊が地表面に達した後の大変形挙動については、再現が困難であるため、大変形を評価できる解析手法の開発が望まれる。
概要 (英文)
Centrifugal fault model experiment using Toyoura sand with no adhesiveness and mixed soil with adhesiveness was carried out. Experiments were conducted to generate faults at fault angles of 60 degrees and 75 degrees at gravity field and centrifugal acceleration 50 G field.The following was shown.
(1) It was revealed that the mixed material was affected by the restraint pressure more than Toyoura sand and the shear band width narrowed when the restraint pressure was large.
(2) By appropriately modeling the shear strength after tensile fracture, it is considered that it can be reproduced the behavior and form of the fault near the ground surface by FEM.
報告書年度
2018
発行年月
2019/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
中村 邦彦 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
共 |
日高 功裕 |
地球工学研究所 地震工学領域 |
共 |
澤田 昌孝 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
共 |
石丸 真 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
共 |
岡田 哲実 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
断層変位 | Fault displacement |
遠心模型実験 | Centrifugal model experiment |
逆断層 | Reverse fault |
破壊形態 | Fracture morphology |
有限要素法 | Finite element method |