電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

O18003

タイトル(和文)

ディーゼル発電機(D/G)からの給電を想定した高圧電気盤における高エネルギーアーク故障(HEAF)火災評価試験

タイトル(英文)

Experimental Studies of the HEAF (High Energy Arc Fault) Fire Event for High Voltage Cabinet to Energize an Diesel Generator

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震の際に女川原子力発電所1号機で発生した高圧電気盤*1の大規模な高エネルギーアーク故障による火災(HEAF火災)の被害状況を踏まえ、HEAF火災による波及的影響の軽減対策を合理的に実施する必要がある。このため、原子力規制委員会はHEAF火災の考慮*2を保安電源設備に求めているが、HEAF火災の発生防止を規定する明確な技術基準は世界的にも未整備の状況にある。これまで、当所では、既報*3において、高圧電気盤の内部アーク試験を行い、HEAF火災に進展する最小のアークエネルギーE_arc(アーク電圧、電流、アーク発生時間の積)を得ている。一方、ディーゼル発電機(D/G)から受電中の高圧電気盤内においてHEAF事象が発生した場合、小電流のアークが数秒間継続する可能性があるが、これらについての試験例はなく知見が十分でない。

目 的
実物大の高圧電気盤を用いて小電流・長時間の内部アーク試験を行い、HEAF火災に進展しない最大エネルギーを評価する。さらに、HEAF火災発生防止評価式を提案する。

主な成果
給電中D/Gのアーク発生検知後からD/G停止までの状態を想定し、高圧電気盤(非耐震, 母線材質:アルミニウム)を用いた内部アーク試験(発弧箇所:VCBの二次側端子、VCB室容積:1.2m3)を実施し、既報*3の知見を含め、以下の成果を得た。。

1.内部アーク試験
目標通電時間t_arcを2.65 s以上、三相短絡電流条件(5kA)における電圧や電流を測定し、アーク電圧V_arcやE_arcを求めた。V_arcは、既報*3の結果を含め概ね一定の値となり、その平均値は1.33 kV(対地電圧の三相合計値)となった。また、E_arcはt_arcに比例して増大し、本試験の範囲で得られたHEAF火災に進展しない最大のE_arcは16.6 MJであった。

2.HEAF火災発生防止評価式
HEAF火災の発生有無はアークエネルギーに依存することを踏まえ、HEAF火災に進展しないアークエネルギーの設計値E_design(MJ)を設定することにより、評価式(1)を用いてHEAF火災に進展しないアーク発生時間t_designが求められる。
t_design=E_design/(V_arc×0.9×I_rms) (1)
ここで、V_arcは本試験で得られたアーク電圧(1.33 kV)、I_rms(kA)は高圧電気盤内において三相短絡故障によりアークが発生した場合の短絡電流(実効値)である。

*1 電力系統を保護・制御するための遮断器等の保護継電器と高圧の母線を一緒に金属製筐体に収めたもの
*2 原子力規制委員会:高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイド,2017年7月
*3 白井他:高圧電気盤における高エネルギーアーク故障(HEAF)火災評価試験、電力中央研究所研究報告O16001

概要 (英文)

Successive fire due to a HEAF (High Energy Arc Fault) event in a high voltage metal-clad switchgear was identified at the Onagawa nuclear power plant after the Great East Japan Earthquake in March 2011. During HEAF event, hot gas heated in the metal enclosure due to the arc flash will be emitted out of the enclosure or to adjacent enclosure, and has a potential to damage the surrounding equipment. In response, in August 2017, the NRA (Nuclear Regular Authority) in Japan amended the safety requirement for the power supply to consider the influence of the successive fire due to the HEAF fire event. Therefore, it is urgently necessary to establish the design criteria to prevent the HEAF fire event, and enhance the experiment data of the HEAF fire event. In order to estimate the total arc energy during the HEAF event and obtain the threshold value to prevent the HEAF fire for the existed non-arc proof electrical high-voltage switchgear for the diesel generataor, three-phase internal arc tests with high (6.9kV class) voltage switchgears under the long arcing duration (from 3 to 6 seconds) of 5kA arc current were executed. As a result, the maximum arcing energy that did not progress to HEAF fire event was 16.6MJ.

報告書年度

2018

発行年月

2019/03

報告者

担当氏名所属

白井 孝治

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

宮城 吏

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

田坂 光司

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

池 正熏

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

岩田 幹正

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

合田 豊

電力中央研究所

キーワード

和文英文
高エネルギーアーク故障 High Energy Arc Fault
HEAF火災 HEAF Fire Event
高圧スイッチギア High-Voltage Switchgear
内部アーク試験 Internal Arc Test
ディーゼル発電機 Diesel Generator
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