電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

O18002

タイトル(和文)

モータコントロールセンタ盤(MCC)における高エネルギーアーク故障(HEAF)火災評価試験

タイトル(英文)

Experimental Studies of the HEAF (High Energy Arc Fault) Fire Event for a MCC (Moter Control Center)

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震の際に女川原子力発電所1号機で発生した高圧電気盤*1の大規模な高エネルギーアーク故障による火災(HEAF火災)の被害状況を踏まえ、HEAF火災による波及的影響の軽減対策を合理的に実施する必要がある。このため、原子力規制委員会はHEAF火災の考慮*2を保安電源設備に求めているが、HEAF火災の発生防止を規定する明確な技術基準は世界的にも未整備の状況にある。これまで、当所では、既報*3,4において低・高圧電気盤の内部アーク試験を行い、HEAF火災に進展する最小のアークエネルギーE_arc(アーク電圧、電流、アーク発生時間の積)を得ている。一方、国内仕様のモータコントロールセンタ盤(MCC)内においてHEAF事象を発生させた場合の試験例がなく知見が十分でない。
目 的
実物大のMCCを用いた内部アーク試験を行い、HEAF火災に進展しない最大エネルギーを評価する。さらに、HEAF火災発生防止評価式を提案する。
主な成果
MCC(非耐震, 母線材質:銅)を用いた内部アーク試験(発弧箇所:配線用遮断器(MCCB)の一次側、MCCBと垂直母線の接続箇所)を実施し、以下の成果を得た。

1.内部アーク試験(表1)
目標通電時間t_arcを0.1 s~0.5 s、三相短絡電流条件(45 kA)における電圧や電流を測定し、アーク電圧V_arcやE_arcを求めた。V_arc(対地電圧の三相合計値)の全試験の平均値は0.675 kVとなった。また、E_arcはt_arcに比例して増大し、本試験の範囲で得られたHEAF火災に進展しない最大のE_arcは4.49 MJであった。(図2)

2.HEAF火災発生防止評価式
HEAF火災の発生有無はE_arcに依存することを踏まえ、HEAF火災に進展しないアークエネルギーの設計値E_design(MJ)を設定することにより、評価式(1)を用いてHEAF火災に進展しないアーク発生時間t_design(s)が求められる。(図2)
t_design=E_design/(V_arc×0.9×I_rms) (1)
ここで、V_arcは本試験で得られたアーク電圧(0.675 kV)、I_rms(kA)はMCC内において三相短絡故障によりアークが発生した場合の短絡電流(実効値)である。


*1 電力系統を保護・制御するための遮断器等の保護継電器と高圧の母線を一緒に金属製筐体に収めたもの
*2 原子力規制委員会:高エネルギーアーク損傷(HEAF)に係る電気盤の設計に関する審査ガイド,2017年7月
*3 白井他:高圧電気盤における高エネルギーアーク故障(HEAF)火災評価試験、電力中央研究所研究報告O16001
*4 K. Shirai et al., “Demonstrative HEAF (high energy arcing fault) fire tests of high and low voltage switchgears of nuclear power plants”, ICONE26-82177, England, July, 2018

概要 (英文)

Successive fire due to a HEAF (High Energy Arc Fault) event in a high voltage metal-clad switchgear was identified at the Onagawa nuclear power plant after the Great East Japan Earthquake in March 2011. A HEAF has the potential to cause extensive damage to the failed electrical components and distribution systems along with adjacent equipment and cables. In light of this, we executed internal arc tests with full scale MCC (Moter Control Center), and evaluated arcing energy, the mechanical damage of the switchgear and the surrounding equipment due to the impulsive pressure and the possibility of successive fire occurrence. In the case where the arc flash was discharged in the MCCB (Molded Case Circuit Breaker) room, 0.52 second arcing duration in a three-phase short-circuit current with 45 kA (measured arcing energy over 7.56 MJ) caused successive fire which required extinguishment. Therefore, the maximum arcing energy that did not progress to HEAF fire event was 4.49 MJ.

報告書年度

2018

発行年月

2018/12

報告者

担当氏名所属

宮城 吏

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

白井 孝治

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

田坂 光司

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

池 正熏

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

岩田 幹正

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

合田 豊

電力中央研究所

キーワード

和文英文
高エネルギーアーク故障 High Energy Arc Fault
HEAF火災 HEAF Fire Event
モータコントロールセンタ Moter Control Center
内部アーク試験 Internal Arc Test
筐体内圧力 Enclosure Pressure
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