電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

NR22008

タイトル(和文)

火災モデルFDSおよびBRI2-CRIEPIの上下複数区画火災への適用性評価

タイトル(英文)

Evaluation of the Applicability of the Fire Models FDS and BRI2-CRIEPI for Multi-Compartment Fires involving Upper and Lower Floors

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
原子力発電所における天井開口部を介して上下に連結された複数区画(上下複数区画)火災進展解析では、下階で発生した火災プルームが上階へ流入することによる温度上昇を精緻に予測する必要がある。火災モデルとしてゾーンモデル とフィールドモデル が知られているが、原子力発電所における機械式換気条件下の上下複数区画火災に対するこれらモデルの適用性の評価例は少ない。
目  的
米国NISTが開発したフィールドモデルFDS(Fire Dynamics Simulator)および当所で開発中のゾーンモデルBRI2-CRIEPIの上下複数区画火災進展解析への適用性を評価する。
主な成果
国際共同研究PRISME2とPRISME3 で行われた機械式換気条件下における、上下2区画の試験(VSP2)と水平上下4区画の試験(S3_A1)の2ケースの上下複数区画火災試験を対象とし、解析を実施した。機械式換気による気流解析を実施後、既知の発熱速度を入力した再現解析を実施し、試験結果と比較した結果、以下の知見を得た。

1. フィールドモデルFDSの上下複数区画火災解析への適用性
下階の火災室、隣接室、および上階の室内温度分布や室内圧力の変動、給排気流量を精度よく予測できることを確認した。また、天井開口部の流況の特徴として、火源が開口の直下にある体系(VSP2)では一方向流が支配的であり、火源が開口から離れた体系(S3_A1)では、二方向流が卓越することを把握した。

2. ゾーンモデルBRI2-CRIEPIの上下複数区画火災解析への適用性
下階の火災室と隣接室の温度は高めの値となった。しかし、上階の温度は低めの値となった。これは、下階の高温ガスが天井開口から上階へ伝播する流量が低めの値であったことに起因する。現行のBRI2-CRIEPIでは、開口周辺の気流に作用する外力(浮力や圧力など)を考慮できないために天井開口流量に試験結果との乖離が生じたと考えられる。
今後の展開
BRI2-CRIEPIの上階への火災伝播解析の精度向上のために、天井開口近傍の気流に作用する外力を適切に考慮した天井開口流量の予測モデルの開発を行う。

概要 (英文)

In multi-compartment of a nuclear power plant where the upper and lower floors are connected via ceiling openings, fires can occur in the lower floors. To assess the impact of such a fire, it is necessary to predict the temperature rise in the upper floors due to the propagation of high temperature gas through the ceiling openings. However, there are few examples that evaluate the applicability of fire models such as field and zone models for multi-compartment fire involving upper and lower floors under mechanical ventilation condition.
To evaluate the applicability of the field model FDS and the zone model BRI2-CRIEPI, verification analysis on two cases of multi-compartment fire tests data performed in OECD/NEA joint research project, PRISME. The analyses with FDS predicts temperature, pressure, and opening flow rate measured in the test cases well. Also, characteristic of the flow regime at the ceiling opening could be determined by analytical results. Also, BRI2-CRIEPI predicts higher temperature on the lower floors, while temperatures are predicted on the upper floor. This is due to a deviation in the predicted flow rate through the opening.
To improve the accuracy of BRI2-CRIEPI's prediction for the temperature rise in upper floor due to fire propagation, a model for flow rate through opening should be developed, considering external force such as density and pressure differences between upper and lower floors.

報告書年度

2022

発行年月

2023/04

報告者

担当氏名所属

永井 大地

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

白井 孝治

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

池 正熏

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

田坂 光司

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

宇田川 敏子

サステナブルシステム研究本部 構造・耐震工学研究部門

キーワード

和文英文
火災モデル Fire model
フィールドモデル Field model
ゾーンモデル Zone model
複数区画火災 Multi-compartment fire
天井開口 Ceiling opening
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