電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
NR22004
タイトル(和文)
岩盤の原位置引張り試験の適用性確認と引張り強さの評価法の提案
タイトル(英文)
Applicability of in-situ direct tension test and proposal of evaluation method of tensile strength on rocks
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
地震PRAでは基準地震動を超える地震を想定し,フラジリティ評価を実施する。このため,原子力発電所の基礎地盤および周辺斜面の安定性評価においては,岩盤の力学特性について従来の保守的な評価を現実に即した評価に改める必要がある。そこで,当所では保守的にゼロと評価されてきた岩盤の引張り強さを調べるための原位置引張り試験法を開発したが,不連続面を有する天然の岩盤での適用性が不明であった。
目的
天然の岩盤を対象に原位置引張り試験を実施し,試験法の適用性を確認する。また,その結果を踏まえて,寸法効果を適切に考慮して岩盤の引張り強さを評価する方法を提案する。
主な成果
1. 岩盤の原位置引張り試験の適用性確認
新第三紀中新世の黒色頁岩を対象に,不連続面の調査の後,不連続面を有する岩盤の原位置引張り試験を実施した。あわせて,サンプリングした岩石試料の室内引張り試験を実施した。原位置引張り試験では,試験手順の修正を行いながら,計4回の試験を実施し,岩盤の平均引張り強さを取得することができた。これにより,不連続面を有する岩盤における原位置引張り試験法の適用性が確認された。また,原位置岩盤の不連続面の幾何学的情報と,室内引張り試験により岩石の引張り強さの異方性とばらつきを取得することで,対象岩盤の特徴を把握することができた。
2. 岩盤の引張り強さの評価法の提案
原位置試験では軸が鉛直に限定され,異方性を評価できないため,寸法効果や異方性を評価できる岩盤の引張り強さの評価方法を提案した。提案の方法は,簡易解析により不連続面の影響を,有限要素法により不均質性の影響を考慮し,寸法に応じた引張り強さを評価するものである。また,今回実施した原位置試験結果と提案の方法を比較した結果,原位置での岩盤の引張り強さをサンプリングした岩石の引張り強さから評価でき,評価手法が概ね妥当であることが確認された。
今後の展開
提案の評価法を用いることにより,岩盤の引張り強さの異方性の確認も可能であると考えられる。よって,岩盤の原位置引張り試験の実施と提案手法の有効性の確認事例を蓄積することで,岩盤の引張り強さの合理的評価法を確立する。
概要 (英文)
A new method of direct in-situ tension test was developed by Central Research Institute of Electric Power Industry(CRIEPI) and some verification tests were conducted on artificial continuous rock mass in the laboratory. In this study, an attempt for this test method was to be applied on a natural discontinuous rock mass in the field. As a result, four in-situ tension tests were successfully conducted while modifying testing procedure and the tensile strength of shale was successfully obtained. The tensile strength of large rock mass (60 cm in diameter) was about ten percent of that of small core sample (5 cm in diameter).
Furthermore, a new evaluation method of tensile strength of rock mass was proposed taking the scale effect into account. The tensile strength was analyzed by geometric information of discontinuities in the rock mass and the variation of tensile strengths of core samples obtained by laboratory direct tension tests. The evaluated tensile strength was approximately equal to those obtained by the in-situ tension tests.
報告書年度
2022
発行年月
2023/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
岡田 哲実 |
原子力リスク研究センター 自然外部事象研究チーム |
共 |
納谷 朋広 |
株式会社ダイヤコンサルタント 地質解析事業部 地質技術第2部 地盤物性課 |
共 |
谷 和夫 |
東京海洋大学 学術研究院 海洋資源エネルギー学部門 |
共 |
家島 大輔 |
中国電力株式会社 電源事業本部(安全審査土木) |
共 |
由利 厚樹 |
中国電力株式会社 電源事業本部(安全審査土木) |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
岩盤 | Rock mass |
引張り試験 | Tension test |
原位置岩盤試験 | In-situ rock test |
不連続面 | Discontinuity |
寸法効果 | Scale effect |