電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

NR21008

タイトル(和文)

人間信頼性データ収集様式の拡張 -近代的な人間信頼性解析に対応したエラーモードの整備-

タイトル(英文)

Extending Human Reliability Data Collection Format - Organizing Error Modes Consistent with Modern Human Reliability Analysis -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
近年のPRAでは、事故シーケンスにおける人間応答をより現実的に評価するために、人間信頼性解析(Human Reliability Analysis:HRA)の新たな手法開発が進められている。これらの手法(以下、近代HRA手法)で考慮するエラーモード(HRAにおける人的過誤の種類)は、従来のHRA手法(THERPやCDBT:国内原子力業界で採用されている手法)におけるエラーモードと比較して、地震・津波といった過酷状況下での対応を含む、より幅広いタスクに対応できるよう、詳細かつ網羅的となっている。一方、電力中央研究所が開発してきた、緊急時対応訓練中の人的過誤事例をエラーモードに分類し人間信頼性データとして収集する様式は、従来のHRA手法におけるエラーモードのみを想定している。このため、近代HRA手法と整合するように、人的過誤事例を分類するエラーモードを拡張する必要がある。

目  的
緊急時対応訓練中に発生した人的過誤事例を、近代HRA手法と整合したデータとして分類・収集できるように、HRA手法のエラーモードを調査・整理した上で、人間信頼性データ収集様式を拡張する。

主な成果
(1)エラーモードの調査及び整理
HRA手法等におけるエラーモードを調査し、データ収集にあたる訓練関係者にも人的過誤の分類が容易となるように、エラーの発生しやすさ等の観点からエラーモードの整理(絞り込みや追加)を行った。その結果、従来のHRA手法には含まれないエラーモード20種を含む、合計31種のエラーモードが整備された。
(2)人間信頼性データ収集様式の拡張
上記で整備されたエラーモードをプラント運転や現場作業等の緊急時対応を行う人間の認知プロセスに基づいて配置し、認知プロセス毎に発生した人的過誤事例を分類する新しい人間信頼性データ収集様式を作成した。本収集様式は旧様式と比べ、以下に示す主な特徴を有する。
・近代HRA手法におけるエラーモードとの整合性を有し、近代HRA手法に対応した人的過誤確率(Human Error Probability:HEP )値の推定に適用できる。
・考慮するエラーモードは広範かつ詳細であり、緊急時対応訓練時や手順書未整備状況下の過誤事例も的確に分類可能であることが期待される。
・データを収集する訓練関係者が選択しやすいエラーモードを整備しており、的確な人間信頼性データの収集が期待できる。

概要 (英文)

Japanese utilities have mainly used THERP and CBDT methods for human reliability analysis (HRA). Hence, currently in Japan, a human reliability data collection format covers the human error modes considered in THERP and CBDT which is developed by Nuclear Risk Research Center is applied to collect the information on human error events. The collected information are used to classify the human error to human error modes and to update the nominal human error probabilities (HEPs) to be incorporated in probabilistic risk assessments with the number of human error events. On the other hand, the recent PRAs, at least internationally, tends to promote development of HRA methodology to consider more realistic human responses during accident sequences. The human error modes could vary depending on HRA methodologies. Especially the human error modes in modern HRA methodologies tend to be more detailed and wider coverage than THERP and CBDT. It is, hence, necessary to expand the human error modes to classify human error events for more realistic HRA methodologies than THERP and CBDT. This study has expanded the human reliability data collection format to precisely classify the human error events during emergency response training (ERT) according to human error modes considered in modern HRA methodologies on the viewpoints such as the assumed likelihood of human error. The developed format of human error modes are so comprehensive that even a unique human error events during ERT would be classified to any human error mode. Since, furthermore, the format is organized by cognition process, it is feasible to add failure modes as necessary. In near future, we will verify the applicability of the developed format. Also, with the verified format, we will quantify HEPs for error modes not analyzed yet.

報告書年度

2021

発行年月

2022/05

報告者

担当氏名所属

武田 大介

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

佐相 邦英

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

桐本 順広

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

長谷川 尚子

原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム

キーワード

和文英文
人間信頼性解析 Human Reliability Analysis (HRA)
人的過誤確率 Human Error Probably (HEP)
人間信頼性データベース Human Reliability Database
エラーモード Error Mode
ノミナル値 Nominal Value
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