電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
NR21002
タイトル(和文)
国内原子力発電所のPRA用一般機器信頼性パラメータの推定
タイトル(英文)
Estimation of the generic component reliability parameters for probabilistic risk assessment of the Japanese nuclear power plants
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
従来、日本の確率論的リスク評価(PRA: probabilistic risk assessment)で示されていた炉心損傷頻度(CDF: core damage frequency)などのリスク指標は欧米プラントのそれよりも数桁程度小さい傾向があり、その要因の大きな部分が機器故障率など機器信頼性パラメータの低い値にあると考えられることから、日本ではPRAとして考慮すべき機器故障事象のデータが適切に収集されていないのではないか、との疑念の声が国内外専門家から聞かれることがあった。国内機器故障情報は(一社)原子力安全推進協会(JANSI)の運営する原子力施設情報公開ライブラリー(NUCIA)の原子力機器トラブル情報を用いたものであったが、NUCIAがPRAでの使用を目的に設計されたデータベースではないことから、PRAに必要な機器故障情報が国内プラントからもれなく収集されていること、および、推定した数字が日本の原子力機器の信頼性水準を的確に表していることを明確な証拠で示すのは困難であった。
目 的
国内でPRA用として適切に収集した機器故障情報を用いて、説明性のある国内一般機器信頼性パラメータ、特に本報告では時間故障率およびデマンド故障確率を推定する。また、日本のパラメータの数値が米国のものと比べて2桁以上も低くなるのかどうか確認する。
主な成果
1. 国内一般機器信頼性パラメータの推定
電力各社のプラントPRAでモデル化している機種・故障モードについて、各社の品質保証体制の下、プラント不具合情報から信頼性の高い機器故障情報を収集し、その情報を用いて国内一般機器信頼性パラメータを推定した。故障情報の対象は、現在再稼働済みまたは再稼働予定の27プラントにおいて2004年度から2010年度に発生した機器故障事象である。推定方法は、米国の一般機器信頼性パラメータの推定に用いられているベイズ統計手法を用いた。
2. 米国の一般機器信頼性パラメータとの比較
国内一般機器信頼性パラメータを米国の一般パラメータと比較したところ、国内パラメータの水準は、米国と同等もしくは若干低い傾向を示し、米国の数値より2桁も低いような事例はほとんどなかった。
今後の展開
機器故障情報の収集と一般機器信頼性パラメータの推定は今後も継続的に行い、信頼性の高いPRA用パラメータの整備と充実を進めていく。また、その他、共通原因故障などPRAに必要なパラメータ全般の整備を進めていく。
概要 (英文)
This report provides improved estimates of the generic component reliability parameters for probabilistic risk assessment of the Japanese nuclear power plants based on the data collected through an explanatory procedure with explicitly defined criteria. The credibility of the previous generic reliability parameters was questioned because the failure data sources were the NUCIA industry database, which is not originally designed for PRA and might not cover the component populations modeled in PRA. To resolve this issue, we use the component failure information directly collected by the Japanese utilities according to the sound definitions of component populations and failure criteria consistent with the utilities PRA models. The technical problems in the previous parameters have been resolved in the new parameters, which are believed to contribute to the enhanced quality of PRA in Japan.
報告書年度
2021
発行年月
2021/09
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
吉田 智朗 |
原子力リスク研究センター |
共 |
曽我 昇太 |
原子力リスク研究センター リスク評価研究チーム |
共 |
清野 弘章 |
原子力リスク研究センター リスク情報活用推進チーム |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
確率論的リスク評価 | Probabilistic Risk Assessment |
機器信頼性パラメータ | Component Reliability Parameters |
時間故障率 | Failure Rate |
デマンド故障確率 | Demand Failure Probability |
ベイズ統計 | Bayesian Statistics |