電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N20009
タイトル(和文)
流動性を高めたフライアッシュ混和コンクリートにおけるフレッシュ時の空気量および凍結融解抵抗性に関する実験的検討
タイトル(英文)
Experimental Study on Air Content in Fresh State and Freeze-Thaw Resistance of Fly Ash Concrete with Enhanced Flowability
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
2019年のレディーミクストコンクリートのJIS改正では、生産性向上を図るため、より流動性の高いコンクリートが標準化された。流動性向上に際しては、材料分離と相反することから、粘性の確保が必要となる。その際、フライアッシュを用いた粉体量の増加が有効と考えられる。フライアッシュはコンクリートの耐久性向上に寄与するなど、混和材としての有用性が知られており、循環型資源の有効利用の観点からも、近年特に、その利用拡大が望まれている。ただし、フライアッシュに含まれる未燃炭素について、AE剤の吸着による凍結融解抵抗性の低下など、懸念される特性がある。
目 的
流動性を高めたコンクリートについて、フライアッシュの混和量およびAE剤吸着性とフレッシュ時の空気量との関係を把握し、硬化後の凍結融解抵抗性を定量的に評価する。
主な成果
従来よりも流動性の高いコンクリート(スランプフロー400~600mm程度)を想定し、AE剤吸着性の指標となるメチレンブルー吸着量が0.54~1.85mg/gの3種類のフライアッシュをそれぞれ混和した条件で、フレッシュ時の空気量を測定するとともに、硬化後の供試体について、凍結融解試験および気泡特性の分析を実施し、以下の知見を得た。
1.フライアッシュの混和によるフレッシュ時の空気量の減少
フライアッシュのメチレンブルー吸着量が高く、混和量が多いほど、空気量の減少が顕著になることを明らかにした。これは、フライアッシュの未燃炭素によるAE剤吸着量の増加に伴い、AE剤に期待される空気連行性が低下したためと考えられる。
2.凍結融解抵抗性の確保に必要な気泡間隔係数
練上がりから打設開始までの時間経過に伴い、空気量は減少するが、気泡間隔係数および凍結融解抵抗性はほとんど変化しないことが明らかとなった。これは、空気量の減少が、粗大な気泡によるためだと考えられる。また、気泡間隔係数が概ね200µm以下となったものは、凍結融解抵抗性を有していたことを明らかにした。
以上により、未燃炭素が比較的多いフライアッシュを用いた場合においても、気泡間隔係数をAE剤の添加量により適切に調整することで、凍結融解抵抗性を有する流動性の高いコンクリートの配合設計が可能となる見通しを得た。
今後の展開
広範な性質のフライアッシュを用いて知見を蓄積し、フライアッシュ混和コンクリートの流動性および凍結融解抵抗性を考慮した信頼性の高い配合設計方法を提案する。
概要 (英文)
The freeze-thaw resistance of concrete with a slump flow of about 400-600 mm was evaluated by mixing each of three types of fly ash with methylene blue adsorption ranging from 0.54 to 1.85 mg g-1, which is an index of the ease of adsorption of chemical admixtures. In addition, the air content of the concrete at fresh state and the air characteristics of the hardened concrete were compared. It was revealed that the decrease of air content with time became larger in case of using fly ash with high methylene blue adsorption, and this tendency became even stronger when the amount of fly ash increased. Although the air content at fresh state decreased with the passage of time from mixing to casting, it had little effect on the spacing factor and freeze-thaw resistance of the hardened concrete, suggesting that the decrease of the air content at fresh state was due to losing the coarse air bubbles. It is clarified that the amount of AE agent should be appropriately adjusted so that the spacing factor is approximately less than 200 micro meter in order to ensure the freeze-thaw resistance of concrete.
報告書年度
2020
発行年月
2021/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
大塚 拓 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
共 |
山本 武志 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
フライアッシュ | fly ash |
メチレンブルー吸着量 | methylene blue absorption |
流動性 | flowability |
空気量 | air content |
凍結融解抵抗性 | freeze-thaw resistance |