電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N20001
タイトル(和文)
スウェーデン・ハードロック地下研究施設における高レベル放射性廃棄物処分のための国際共同研究(その12)-FEBEX原位置加熱浸透試験の数値解析-
タイトル(英文)
CRIEPI and SKB Cooperation Report No.12 - Numerical simulation for the FEBEX in-situ test -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
高レベル放射性廃棄物処分施設周辺では,熱・水・応力連成現象が再冠水期間の数10年以上にわたり発生する.ベントナイトを主材料とする緩衝材や周辺岩盤の再冠水から飽和に至る長期挙動を評価し,施設の安全評価の信頼性向上を図るため,当所では熱・水・応力連成解析プログラムLOSTUFを開発した.また,原位置試験や遠心力模型実験の解析により,その高度化に取り組んできた.これまでは竪置き処分の解析を行ってきたが,人工バリアの品質管理や操業が容易である横置き処分の導入が近年検討されている.そこで,スウェーデンのSKBが主催する「人工バリアタスクフォース」のタスクとして横置き処分の解析に取り組むこととした.
目的
横置き処分での実規模の飽和・膨潤過程における熱・水・応力連成挙動の予測に関して、数値解析の妥当性を確認する.
主な成果
横置き処分の実規模実証試験FEBEX原位置試験を対象とした解析を実施した.試験期間は18年に及び,ヒーター発熱量,ベントナイト中の温度,相対湿度,全応力の計測が行われた.また,ヒーター取出し時にベントナイトをサンプリングし,乾燥密度・含水比が測定された.解析は軸対称モデルで実施し,計測結果との比較を行った.また,透水・力学のパラメータに関する感度解析を実施した.その結果以下のことが分かった.
(1) 温度の履歴を精度良く再現できることを確認した.
(2) 水の浸透は解析の方がやや遅い傾向があったが,概ね再現した.
(3) 水の浸透に伴うベントナイトでの初期の応力の発生は,解析の方が早い傾向があった.時間が経過した後の応力の値,上昇速度は計測と近い結果が得られた.
(4) 試験終了時のベントナイトの乾燥密度分布,含水比分布を概ね再現できた.
(5) 周辺岩盤の固有透過度を試験値よりも大きくすることで,試験前のトンネルへの流入量の再現性が高まり,解析から得られる水の浸透やヒーター発熱量が計測結果に近づく.流入量に関して再現性の高い水理条件を設定することが重要である.
今後の展開
本報告では均質なベントナイト初期密度を仮定したが,不均質な初期密度からの密度変化や膨潤応力発生を評価できるように膨潤モデルの高度化を行う.
概要 (英文)
In a repository of high-level radioactive waste, complex thermal, hydraulic and mechanical (THM) coupled phenomena will take place, involving the radioactive heating from the vitrified waste,infiltration of ground water and swelling of bentonite buffer. The capability of modeling such coupled phenomena is of particular importance to the repository design and the safety assessment. CRIEPI has developed the THM coupled finite element method program LOSTUF for evaluating the phenomena that will take place around the engineered barrier system (EBS). In the task force on EBS led by SKB, CRIEPI makes efforts to validate the capability to model THM processes in bentonite buffer.
In this report, numerical simulations for the FEBEX in situ test, which is a full scale in-situ heating and infiltration test of EBS in a drift deposition tunnel, are conducted, and numerical results are compared to the measured data. Sensitivity analyses regarding hydraulic and mechanical parameters are also conducted. The following remarks are obtained: (1) Numerical simulation assuming axisymmetry and homogeneous initial bentonite density is able to reproduce the main features of THM behavior in the full-scale horizontal deposition. (2) Calibration of the permeability of host rock for water inflow is important for better prediction of THM behavior.
報告書年度
2020
発行年月
2020/08
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
澤田 昌孝 |
地球工学研究所 地震工学領域 |
共 |
西本 壮志 |
地球工学研究所 バックエンド研究センター |
共 |
岡田 哲実 |
地球工学研究所 地震工学領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
原位置試験 | In-situ test |
ベントナイト | Bentonite |
膨潤 | Swelling |
連成解析 | Coupled analysis |
横置き処分孔 | Horizontal deposition hole |