電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N19004
タイトル(和文)
重力式コンクリートダム洪水吐ピアの耐震性能評価に関する研究(その2)左右岸方向静的地震力を用いた解析手法の提案
タイトル(英文)
Study on seismic performance estimation method for spillway piers of concrete gravity dams (part.2) Proposal of analytical method using static earthquake force on dam axis direction
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
大規模地震に対する水力発電設備の安全性に関して、電力会社は、国土交通省や経済産業省から通知された各種基準類を参考にしながら、設備の耐震性能評価を進めている。ダム本体については評価手法が整備され、経済産業省からの求めに応じて計画的に評価が実施されている。一方で洪水吐ピア(以下、ピアと称す)などの本体付属構造物については、評価手法が確立されておらず手法の開発が求められている。
目的
重力式コンクリートダムのピアの左右岸方向の耐震性能評価法として、ピア単体モデルに静的地震力を与える簡便な解析手法を提案する。
主な成果
堤頂のピアを対象に、有限要素解析を用いてピア単体の3次元線形モデルに静的地震力を与える手法を提案(提案手法)し、ゲートおよびピアを含むダム全体の3次元線形モデル(堤体全体モデル)による時刻歴地震応答解析法と比較した。
1.提案手法の手順と特徴
提案手法で扱う左右岸方向の静的地震力は、まず、別途実施する堤体の2次元モデルによる時刻歴地震応答解析から、ピア取付部の上下流方向の最大加速度応答値を抽出する。次に、これとピアの固有振動数に対応する加速度応答スペクトル比(上下流方向に対する左右岸方向の応答値の比、関連報告書参照)を乗じて左右岸方向の最大加速度応答値を算出する。耐震性能評価では、この左右岸方向の最大加速度応答値を静的地震力としてピア単体モデルに付与して応力解析を実施し、発生応力や変位が許容値以内に収まることを確認する。
2.解析結果の比較
提案手法と堤体全体の時刻歴地震応答解析を比較すると、提案手法は、鉛直曲げ変形による頂部応答の増幅や水平ねじれ変形の影響により最大引張応力を約20%小さく評価するが、左右岸方向の最大変位は約50%大きく評価できる。静的地震力を安全側に考慮すると、提案手法による最大変位はさらに大きく、最大引張応力は時刻歴地震応答解析と同程度となる。
以上より、ピアの左右岸方向の耐震性能評価において、ピア単体モデルに静的地震力を与える提案手法は、ピアを含む堤体全体モデルによる時刻歴地震応答解析法よりも概ね安全側の評価結果を与えることがわかった。
今後の展開
提案手法の適用性を現場計測等に基づき検証する。
概要 (英文)
As for the seismic performance estimation method on the crest gate pier of concrete gravity dam on axis direction, easy analytical method using pier model and seismic earthquake force was proposed.
The analytical accuracy of method was checked by comparison between proposal method and the fine 3 dimensional linear earthquake response analysis consist of dam, foundation and reservoir.
The maximum displacement on axis direction of proposal method is about 50% bigger than that of earthquake response analysis.
The maximum tensile stress of proposal method is about 20% smaller than that of earthquake response analysis.
The difference between proposal method and earthquake response analysis is caused by the effect of amplification at crest response in flexural deformation and torsion in horizontal deformation.
However, considering the effect of variation on the setting of static earthquake force, the maximum tensile stress of proposal method is as same as that of earthquake response analysis.
As for the seismic performance estimation of the crest gate pier on axis direction, the proposal method gives safety side assessment roughly.
報告書年度
2019
発行年月
2020/01
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
西内 達雄 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
洪水吐ピア | Spillway pier |
静的地震力 | Static earthquake force |
左右岸方向 | Dam axis direction |
動的解析 | Dynamic analysis |
耐震性能 | Seismic performance |