電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N19003
タイトル(和文)
変電所の耐震設計技術に関する研究(その2)
タイトル(英文)
Study on seismic design techniques for substation (Part 2)
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
変電所等における電気設備の耐震設計指針(JEAG5003)の発刊から39年が経過した。その間,いくつかの被害地震に見舞われたが,電力の応急復旧は一週間程度と他のライフラインに比べ迅速であり,広域かつ長期的な供給被害は発生しなかった。そのため,東北地方太平洋沖地震の被害を検証する国の委員会※1においても,現行指針は直ちに見直す必要はないという見解が示されてきた。一方で,近年の地震・地震動や被害実績データ等の蓄積を図ることにより,必要に応じて現行指針に対する検討を進めておく必要性も言及されている。よって,現行指針を最新の知見に照らして,考慮すべき設計用地震力や解析技術を高度化し,見直しが望ましい点を明らかにすることが求められている。
目 的
近年地震データに基づく変電所の設計用地震力の再評価,地盤・基礎の相互作用,センタークランプ方式ブッシング,リード線および屋外鉄構の解析手法の高度化を行う。
主な成果
1. 変電所の耐震設計のための合理的な設計用地震力の提案
実地震動の応答加速度の周期特性を考慮した合理的な設計用地震力として,震度6弱相当の加速度応答スペクトルで規定した設計用地震力を新たに提案した。また減衰定数の異なる機器に対応するため,異なる減衰定数への応答スペクトルの変換式を提案した。
2. 基礎等の存在による設計用地震力の増幅倍率の評価法
変圧器ブッシング,がいし形機器について,現行指針で考慮されていない基礎・変圧器の高さを考慮したSR解析※2から,基礎等の存在による増幅倍率の標準値を提案した。
3. センタークランプ方式ブッシングの耐震設計法
地震波入力に対応したkfグラフ※3の再評価を行うとともに,新 kfグラフによる線形解析およびファイバーモデルによる非線形解析による2通りの耐震設計法を提案した。
4. 機器間リード線の構造解析モデル化手法
変流器被害の再現解析から,変電機器とリード線の連成解析におけるリード線の曲げ剛性の設定方法として,撚線がすべて固着した状態(上限値)の1/10が最適であること,また,初期形状として正弦曲線モデルが最適な結果を与えることを明らかにした。
5. 地震観測に基づく屋外鉄構の動的特性と解析方法
地震記録に基づく動的特性の特徴として,引留鉄構は方向による応答の違いが顕著で,減衰定数は1%,母線鉄構は複雑な応答特性を示し,減衰定数は5%以上と評価された。減衰の大きい母線鉄構について,リード線とV吊碍子をトラス要素でモデル化する方法を提案し,振動特性としてのみかけ上の大きな減衰が生じていることを明らかにした。
※1 経済産業省・総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会電力安全小委員会 電気設備地震対策WG
※2 スウェイ・ロッキング解析の略。 基礎が地面に対して水平に移動,回転したりする挙動を取り入れたモデルによる解析法
※3 非線形解析と線形解析によるセンタークランプ方式ブッシングの碍管下端での発生曲げモーメントの比
概要 (英文)
In this study, rational design seismic force for substation equipment is proposed based on recent earthquake records. Besides, a conversion formula of response spectra from 5 % damping to different damping constants is proposed. The proposed seismic forces were verified by using actual records during the 2016 Kumamoto earthquakes. Spectral amplification factors of soil-foundation interaction for substation equipment including latest substation transformers were evaluated using sway-rocking analysis. Consequently, the recommended values of amplification factors by soil-foundation interaction are also proposed as a design standard. The nonlinear to linear bending moment ratios of center-clamp-type transformer bushing called the kf-values were re-evaluated for seismic wave input by using nonlinear seismic response analysis with a fiber model developed. New two seismic design method of center-clamp-type transformer bushing using a linear analysis with new kf-values and a nonlinear analysis with a fiber model are also proposed. Based on a current transformer damage analysis, it was demonstrated that the bending stiffness of aerial power cable is recommended as 1/10 of the one for a maximum value of a twisted wire. It was also clarified that the sinusoidal model gives the better result as the initial shape. From the earthquake observations, it was found that a substation gantry steel structure showed the significant differences of seismic response against directions. In addition, the damping constant was estimated to be 1 %. A substation lattice-box steel structure showed complex response characteristics, and an apparent attenuation of 5 % or more was evaluated. It was clarified that an apparent damping effects can be almost explained by the FEM analysis of steel structure considering the v-arranged suspension insulator using truss elements model.
報告書年度
2019
発行年月
2019/12
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
佐藤 浩章 |
地球工学研究所 地震工学領域 |
共 |
石丸 真 |
地球工学研究所 地震工学領域 |
共 |
宮川 義範 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
共 |
高畠 大輔 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
共 |
永田 聖二 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
耐震設計指針 | Seismic design standards |
設計用地震力 | Seismic design force |
地盤-基礎相互作用 | Soil-foundation interaction |
変圧器ブッシング | Transformer bushing |
気中電力設備 | Aerial power facilities |