電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N18010
タイトル(和文)
電線への着雪・付着特性評価 -アルミ平板を用いた室内実験方法の構築-
タイトル(英文)
Evaluation for characteristics of snow accretion and adhesion on transmission lines - Establishment of an experimental method using a vertical aluminium plate -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
当所では,電線着雪・落雪を評価するための数値モデルとしてSNOVALを開発している.しかし,落雪に関わる着雪体のせん断付着力(以下,付着力)のデータが少なく,落雪条件は明確ではない.落雪の予測には,着雪体の付着力と物性値(密度・含水率)の関係性が重要であるが,気象条件が常に変化する自然環境では,それらを評価するための体系的なデータを取得することは困難である.一方,屋内の実験では気温や風速を制御できるため体系的なデータの取得が可能であるが,着雪体の取り扱いや付着力測定の精度に課題があり,実験結果のばらつきが大きいため,実用性のあるデータは少ない.
目 的
着雪体の物性値・付着力の測定手法を含む着雪実験方法を構築する.着雪体の付着力特性や,物性値と風速・気温の関係を明らかにし,物性値の推定式を提示する.
主な成果
1. 着雪実験手法および着雪体の物性値・付着力測定手法の構築
降雪粒子の作製から風洞を用いた着雪までの手法に加え,着雪体の密度・含水率・付着力の測定を含めた実験方法を構築した.この方法では,分析が容易な平板への着雪現象を対象とし,着雪体の切り出し専用器具やロードセル付アクチュエータを用いることで,物性値・付着力を効率的に精度良く測定できるようになった.本実験方法により風速と気温に応じて変化する着雪体の物性値データの取得が可能となった.
2. 風速や気温と着雪体の物性値の関係性評価
着雪体密度は,風速・含水率の増加に伴い高くなること,含水率は,気温にほぼ比例して増加することが確認された.着雪体の物性値に対する風速・気温の影響を理論的に考察し,密度は風速と含水率,含水率は気温と着雪質量を用いて表せることを示した.この推定式により実験条件から着雪体の物性値の予測が可能となる.
3. 着雪体の物性値と付着力の関係性評価
着雪体の付着力については,密度に対する依存性は明確には得られなかったが,含水率に依存して変化する傾向が得られた.
今後の展開
風速・気温の条件に対する実験データを蓄積し,着雪体の物性値の推定式精度を向上させる.付着力と着雪体の物性値の関係をより多くのデータに基づき推定する.平板を用いた実験により得られた知見を電線への着雪に適用し,数値モデルへ導入する.
概要 (英文)
For an acquisition of reliable data to clarify characteristics of snow accreted on a transmission line, it is effective to conduct an indoor experiment. The present report describes an experimental method for snow accretion on a vertical aluminium plate by using a wind tunnel, including measurements of snow density, liquid water content (LWC), as well as shear adhesive stress on the plate. These measurements are systematically applied to different conditions of wind speed and air temperature, focusing on wet snow accretion. Based on the measurement data, characteristics of snow adhesive stress and snow property such as density and LWC according to wind speed and air temperature are investigated. The analysis is further extended to include a quantitative estimation of snow density and LWC. As a result of analytical considerations of the consolidation effect by wind and melting of snow by heat exchanges, equations to estimate snow density and LWC by wind speed, air temperature, as well as accreted snow mass are derived. The experimental results validate these equations, which can be incorporated with a dynamical snow accretion model to predict snow shedding more accurately.
報告書年度
2018
発行年月
2019/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
山本 啓太 |
地球工学研究所 流体科学領域 |
共 |
松宮 央登 |
地球工学研究所 流体科学領域 |
共 |
松島 宏樹 |
地球工学研究所 流体科学領域 |
共 |
根本 征樹 |
防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター |
共 |
冨樫 数馬 |
防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター |
共 |
鈴木 紘一 |
防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター |
共 |
杉本 聡一郎 |
地球工学研究所 流体科学領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
架空送電線 | Overhead transmission line |
湿型着雪 | Wet snow accretion |
含水率 | Liquid water content |
せん断付着応力 | Shear adhesive stress |
風洞実験 | Wind tunnel experiment |