電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N18005
タイトル(和文)
非破壊による鉄筋腐食速度評価法の提案―モルタル試験体を用いた四端子交流インピーダンス法の適用性検討―
タイトル(英文)
Proposal of a non-destructive evaluation method of corrosion rate for reinforced concrete -Applicability study of a four probe AC impedance method to mortar specimens-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
高度経済成長期に大量に建設された鉄筋コンクリート構造物は、高経年化が進行しており、補修・補強・取替の物量の平準化やコストの低減が重要となっている。そのため、内部鉄筋の腐食発生・進行を早期に診断できる非破壊検査法が求められている。標準的な腐食速度評価法は、既設構造物の内部鉄筋に対してリード線を導通する必要があること、計測に時間がかかることなど課題が多い。
目的
鉄筋コンクリートを対象に、非破壊、迅速かつ定量的に内部鉄筋の腐食速度を評価できる手法を提案する。
主な成果
1. 文献調査による手法選定
文献調査の結果、非破壊で腐食速度を評価する手法は、四端子電気計測の交流インピーダンス法、一定周波数や直流による計測があることがわかった。ただし、交流インピーダンス法は分解能が低いことから腐食指標を算出できず、一定周波数や直流による計測は腐食反応の周波数変化を捉えることができないという課題が明らかとなった。この中で、四端子交流インピーダンス法は、様々な周波数の交流電流を用いる非破壊の手法であり、拡張性や時間短縮が見込まれることから、本手法を選定した。
2. 四端子交流インピーダンス法による腐食指標の算出
ナノテクノロジー分野で開発されている高感度インピーダンスアナライザを、モルタル中鉄筋の腐食計測に適用するとともに、ハイドロゲルシートを用いて端子とモルタル間の接触抵抗を低減させることで計測精度が向上した。その結果、これまで計測されなかったインピーダンス性状を明確にすることができ、腐食速度の指標である端子間分極抵抗Rp-fourの算出に成功した。
3. モルタル中鉄筋の腐食速度評価フローの提案
モルタル試験体に対して、四端子交流インピーダンス法と比較のための標準的な交流インピーダンス法を適用した。その結果、両者の腐食速度の指標は正の相関を示した。この関係を反映し、非破壊でモルタル中鉄筋の腐食速度を定量的に算出するフローを提案した。
今後の展開
コンクリート中の鉄筋に対する適用性を検証する。
概要 (英文)
The purpose of the research is to propose a non destructive evaluation method of corrosion rate for reinforced concrete. The state of the art technology related to non destructive inspection methodologies are surveyed. Through this literature research, it is verified that few researches succeeded appropriate accuracy evaluation of the corrosion rare of the steel inside reinforced concrete using non destructive inspections. In order to realize good accuracy evaluation for the corrosion rate, our research proposes a corrosion rate measurement method based on a four probe AC impedance method. The proposed method is applied to indoor measurement experiments using mortal specimens. As a result, this paper reveals that the proposed method enables us to quantitatively identify the corrosion rate characteristics with high resolution, multiple frequencies AC current, and nondestructive mortar specimens' conditions.
報告書年度
2018
発行年月
2019/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
金光 俊徳 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
共 |
小野 新平 |
材料科学研究所 電気材料領域 |
協 |
松村 卓郎 |
地球工学研究所 |
協 |
朱牟田 善治 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
交流インピーダンス法 | AC Impedance Method |
四端子計測 | Four Probe Measurement |
非破壊検査 | Non Destructive Inspection |
腐食速度 | Corrosion Rate |
鉄筋腐食 | Corrosion of Reinforcing Steel |