電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N18003
タイトル(和文)
ひまわり8号を用いた日射量推定・予測システムの開発 -九州エリアにおける1年間の精度評価-
タイトル(英文)
Development of a solar irradiance estimation and forecasting system using Himawari-8 - Assessing the accuracy over Kyushu district for one year -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
2015年7月から正式運用が開始されたひまわり8号は、2.5分間隔かつ0.5kmの高い解像度でデータを取得でき、時々刻々の変化を高精度に把握することができる。当所では、この衛星画像に基づく日射量推定・予測システムを開発し、太陽光発電出力の現況の推定と数時間先の予測に活用してきた。しかしながら、本システムの評価は関東エリアを対象とした1 か月間のみであり、実用性の更なる向上のためには不十分である。
目的
異なるエリア・季節に適用できるように日射量推定・予測手法を改良した上で、システムの九州エリアを対象とした1年間の計算精度を評価する。
主な成果
1. 日射量推定手法の改良と1年間の精度評価
従来、関東エリアの1か月間の推定結果を用いたものであったが、今回、過去の衛星画像データや計算領域内の気象官署の観測値を用いた新たなシステムを開発した。これを九州エリアに適用し、2017 年1年間の日射量の推定計算を行い、気象官署の観測値と比較することで、推定精度を評価した。その結果、1分値の日射量推定計算は、平均誤差(BIAS)では-3W/m2、二乗平均平方根誤差(RMSE)では91W/m2、相関係数では0.94と高い計算精度を有することを確認した。
2. 日射量予測手法の改良と1年間の精度評価
冷え込んだ晴れの日の夜明け前からの予測で顕著に見られた日射量の過小予測を改善するために、予測計算にその日の気温上昇を適切に考慮できる手法を追加した。また、衛星画像の移動予測で見られた陸と海の反射率の違いに起因する過大予測を改善するために、衛星画像から日射量への変換式を修正した。これを九州エリアに適用し、2017 年1 年間の指定した予測開始時刻における日々の日射量の予測計算を行い、予測精度を評価した。その結果、午前9時30分を予測開始時刻とする6時間先まで前10分平均の日射量予測計算は、予測経過時間に対して安定した計算精度を有すること、平均RMSEは、予測開始から3時間先までは160W/m2、3時間から6時間先までは191W/m2と実用的な計算精度を有することを確認した。
今後の展開
北日本の冬季に適用できるように積雪の影響を考慮するなど、システムの更なる高度化と汎用化を進める。
概要 (英文)
To keep stable supply-demand operation for electric power system, a satellite-based real-time solar irradiance estimation and forecasting system using Himawari-8 has been developed. To assess the accuracy and applicability of this system, daily real-time simulations combined use of the estimation and forecasting methods over Kyushu district were conducted for one year in 2017, and the observations of Japan Meteorological Agency Automatic Meteorological Data Acquisition System (AMeDAS) in this area were used for accuracy evaluations.
The statistical accuracy of the estimation method was shown that Bias was -3W/m2, RMSE was 91W/m2 and correlation coefficient was 0.94 using 1-minute solar irradiance. Meanwhile, the statistical accuracies of the forecasting method based daily forecasting started at 9:30 were shown that RMSE averaged from start time to 3 hours ahead was 160 W/m2 and RMSE averaged from 3 hours to 6 hours ahead was 191 W/m2 using 10-minute averaged solar irradiance.
報告書年度
2018
発行年月
2019/02
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
橋本 篤 |
地球工学研究所 流体科学領域 |
共 |
宇佐美 章 |
材料科学研究所 電気材料領域 |
共 |
小林 広武 |
エネルギーイノベーション創発センター |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
太陽光発電 | Photovoltaics |
静止気象衛星 | Geostationary satellite |
ひまわり8号 | Himawari-8 |
日射量推定 | Solar irradiance estimation |
日射量予測 | Solar irradiance forecasting |