電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

N17013

タイトル(和文)

キャニスタのヘリウム漏えい検知器の開発(その3)-1/4.5縮尺キャスク模型を用いた漏えい評価-

タイトル(英文)

Development of Helium Leak Detector for Canister (Part.3)- Leak Evaluation by 1/4.5 Scale Cask Model -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
コンクリートキャスクは、経済的かつ製造期間が短いといったメリットがあり、わが国においても貯蔵オプションの一つとして考えられているが、応力腐食割れ(SCC)の課題が残されており、現在、導入されていない。当所では、万が一、ヘリウム漏えいが生じた際に検知可能とするため、漏えい時にキャニスタの表面温度が変化する現象を利用した漏えい検知器を開発している。検知器の実用化に対しては、実機条件において、微少漏えい、低発熱および風や気温変化の外乱に対する検知感度評価が必要である。
目 的
実機での漏えい検知感度を評価できる試験・評価方法および数値解析手法を確立するとともに、実機形状を模擬した縮尺模型を用いて漏えい試験を行い、内圧と各部温度の関係から、提案している漏えい検知方法の検知可能性を評価する。
主な成果
1.漏えい試験・評価方法および解析方法の確立
実機キャニスタ内の熱流動現象を模擬するため、相似則を考慮して模型の縮尺率を1/4.5およびキャニスタ内部の気体を空気とした。試験では、6気圧から1気圧(大気圧)まで、緩やかに漏えいさせた。更に、圧力データから漏えい量の割合を求め、温度データと関係付けることにより、温度情報から漏えい量を推定する方法を提案した。また、熱流動汎用コードを用いて、キャニスタ内の流れとキャスク流路の流れをカップリングした三次元定常圧縮性解析モデルを構築した。本モデルを用いて、試験解析を行い、試験で観られた現象を定性的かつ定量的に再現できたことから、実機キャスクを解析する上での基本モデルの妥当性が示された。
2.漏えい検知方法の評価
実機において貯蔵40年後の発熱量(10kW)およびその半分の発熱量(5kW)に相当する発熱条件での漏えい試験を実施し、得られた圧力と各部の温度の関係を用いて、漏えい検知手法の検知可能性を評価した。なお、温度は、相似則に基づき、試験で得られた値を実機の値に換算した。
ΔTBT法(キャニスタ上下温度差を利用する方法)およびTB法(キャニスタ底部温度を利用する方法)については、漏えい量の割合に対する漏えい判断に利用する温度差の相関が強いことから、微少な漏えい量に対して、検知できる可能性があることが分かった。
今後の展開
周囲の風や気温変化の影響、検知器の設置条件に対する漏えい検知感度評価を行う。

概要 (英文)

Installation of a helium leak detector in the concrete cask improves the safety of long-term storage. The phenomenon that the temperature at the bottom of the canister (TB) increases and the temperature at the top of the canister (TT) decreases during helium leaks from the canister has been confirmed by the experiments in the previous study. We proposed the dTBT method that the temperature difference dTBT (=TB-TT) is monitored instead of pressure monitoring. Besides, we proposed the TT method using only the temperature of the lid of the canister and the TB method using only the temperature of the bottom of the canister. In order to evaluate the possibility of detecting helium leaks by using these methods, we proposed an evaluation method of the leaks. We performed leak tests using a 1/4.5 scale cask model based on a similarity law of thermal hydraulics. Besides, we established a numerical analysis model which was the base of analysis of the actual canister, and verified the analytical results using the experimental results. In the experiments, a heat flux of a canister model surface had the same value as that of the actual canister surface, and air was used for inner gas of a canister model instead of helium which is used in the actual canister. Thus, a modified Rayleigh number (Ra*) could be made to coincide with that of the actual canister in the experiments. Temperature data at respective canister parts were obtained under conditions of canister internal pressure from 6 atm to 1 atm (atmosphere pressure) at heat rates corresponding to 10kW and 5kW in the actual canister. The three leak detection methods were evaluated by converting the temperature data to actual temperature using the similarity law. As a result, as for the dTBT method and the TB method, it was found that it was possible to detect a slight amount of leaks because there was a strong correlation between the temperature difference used for leak judgement and the ratio of leak amount.

報告書年度

2017

発行年月

2018/04

報告者

担当氏名所属

竹田 浩文

地球工学研究所 バックエンド研究センター

清水 康介

日立造船株式会社 技術開発本部

後藤 将徳

日立造船株式会社 機械事業本部

キーワード

和文英文
経年劣化管理 Aging Management
使用済燃料貯蔵 Spent Nuclear Fuel Storage
キャニスタ密封性 Canister Confinement
ヘリウム漏えい検知器 Helium Leak Detector
相似則 Similarity Law
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry