電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N17007
タイトル(和文)
キャニスタのヘリウム漏えい検知器の開発(その2)-横置き小型キャニスタ模型を用いた漏えい評価-
タイトル(英文)
Development of Helium Leak Detector for Canister (Part.2)- Leak Evaluation by Horizontal Small Canister Model -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
米国等においては、キャニスタを利用したコンクリートキャスクおよび横型サイロが多数使用されている。キャニスタは、溶接構造のため高い密封性能を有していることから現状では、漏えい監視は行われていない。しかし、使用済燃料の長期貯蔵中における応力腐食割れ(SCC)を起因とした密封性能喪失が懸念されていることから、漏えい監視を行うことは安全・安心の観点から有用である。当所では、漏えい時にキャニスタの表面温度が変化する現象を利用した漏えい検知器を開発している。横型サイロを対象とした漏えい評価は、これまでに行われたことがない。
目 的
横型サイロを対象として、事前に数値解析を行うことにより、熱流動現象とメカニズムを把握するとともに、小型キャニスタ模型を用いて漏えい試験を実施し、検知に使用できる温度測定箇所を選定する。
主な成果
1.数値解析に基づく現象解明
熱流動汎用コードSTAR-CCM+を用いた三次元定常圧縮性解析を事前に実施し、圧力と表面温度に関する現象メカニズムを解明した。漏えいを模擬した減圧に伴い、対流による熱伝達が低下し、発熱体の温度が上昇する。よって、発熱体が接触もしくは近接している底部温度が上昇する。また、バスケットが加熱されることから、接触している側面下面温度が上昇する。更に、高圧時には、蓋部側および側面上面側の空間に熱溜まりが生じるが、減圧すると熱溜りが減り、気体からの熱流束が低下するため、これらの部分の表面温度が低下する。
2.漏えい試験による検知部位の選定
小型キャニスタ模型を用いた漏えい試験を実施した。事前解析で得られた結果と同様に、減圧に伴い、キャニスタ底部温度が上昇し、蓋部温度が低下する現象が顕著に観られた。この現象は、縦置き姿勢と同じである。なお、側面中央下面温度は若干上昇し、側面中央上面温度は若干低下した。よって、漏えい検知には、これら4つの温度測定箇所を利用できるとともに、温度差を監視する際に、複数の組み合わせが可能となることが分かった。
今後の展開
コンクリートキャスクを対象として、熱流動上の相似則を実機と合わせた1/4.5縮尺キャスク模型を用いた漏えい試験および解析を実施し、検知器の感度評価を行う。
概要 (英文)
Aging management of long-team storage of spent fuel and a monitoring method of integrity of the fuel attract great attention from the world. In a metal cask, monitoring helium pressure between the primary lid and the secondary lid of the cask is regulated. On the other hand, in a concrete cask, the lids of a canister are welded and have high sealing performance, so that the monitoring of helium leak from the canister is not performed. However, a loss of the sealing performance of the secondary lid which is caused by stress corrosion cracking (SCC), is concerned in the case of the long-term storage by the concrete cask. In view of this situation, we have been developing a helium leak detector using a phenomenon that temperature on the surface of the canister changes during helium leak. Besides, in order to investigate the applicability of the detector to horizontal silo storage, leak tests were conducted by using a horizontal small canister model. A basket is installed in the canister model, and 12 stick-shape electric heaters are installed in the basket. After the temperature reached a steady state, temperature data at inner pressures of 5atm, 3atm and 1atm were obtained. When the inner pressure decreases, the temperatures at the bottom of the canister and the bottom of its side surface increase, but on the other hand, the temperatures at the secondary lid of the canister and the top of its side surface decrease. Thus, a sensitive detection method was obtained by combination of the four detecting positions. Also, a phenomenon inside the canister was grasped by numerical analysis.
報告書年度
2017
発行年月
2018/04
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
竹田 浩文 |
地球工学研究所 バックエンド研究センター |
共 |
島池 航平 |
シーメンスPLMソフトウェア |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
経年劣化管理 | Aging Management |
使用済燃料貯蔵 | Nuclear Spent Fuel Storage |
横型サイロ貯蔵 | Horizontal Silo Storage |
ヘリウム漏えい検知器 | Helium Leak Detector |
漏えい評価解析 | Leak Evaluation Analysis |