電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N17005
タイトル(和文)
幌延深地層研究施設における掘削影響領域の評価(その1)-深度140mを対象とした試験-
タイトル(英文)
Evaluation of the Excavation disturbed Zone in the Horonobe Underground Research Laboratory (Part 1) - Investigation in the 140m gallery -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
高レベル放射性廃棄物を地下深部に処分する際,坑道等の掘削に伴い掘削影響領域が発生する。掘削影響領域では,岩盤に様々な変化が生じると考えられており,放射性核種の移行挙動にも影響する可能性がある。従って,その範囲や経時変化を把握することは重要である。そこで,当所(以下,電中研)と日本原子力研究開発機構(以下,原子力機構)では,掘削影響領域に関する共同研究を実施した。
目 的
坑道掘削に伴う水理・力学・物理特性等を調査し,掘削影響領域の範囲や経時変化,およびそこで生じた物理変化の要因を明らかにする。
主な成果
原子力機構が所有する幌延深地層研究施設の深度140m調査坑道において,坑道掘削に伴う岩盤の変化を捉える調査を実施した。
坑壁やボーリング孔からの割れ目調査の結果,高角割れ目の生成(坑壁から10cm以内)や,潜在的な閉塞割れ目が明瞭になったこと(坑壁から45cm以内)を確認した。
坑壁から約1m,2m離れた箇所における水分量計測の結果,坑道掘削に伴う水分量の低下が認められ,掘削前の飽和度を100%とした場合,約60%から80%に低下した。坑道掘削後は,坑道内における年周期の温度変化と相関を持つ水分量の変化(飽和度に換算すると約10%の増減)が生じていた。
坑壁から約3m離れた箇所における透水試験の結果,坑道掘削に伴い透水係数の顕著な変化は認められなかった。
弾性波,比抵抗トモグラフィの結果,坑道掘削に伴うP波速度の低下(最大約25%),比抵抗の増大(最大約50%)が認められ,その範囲は坑壁から1m以内であった。割れ目の形成が推測される範囲に対して広範囲であることや,水分量の低下が認められた範囲であることから,これらの変化要因として,割れ目の形成や不飽和領域の形成と関連を持つ可能性が示された。また,水分量計測の結果と同様,坑道内の温度変化と相関を持つ比抵抗変化が生じており,夏季と冬季で比抵抗に10%程度の差が生じていた。
今後の展開
深度250m調査坑道における結果と比較することで,深度や岩盤性状の違いによる掘削影響領域の違いを明らかにする。
概要 (英文)
In an excavation of shafts and galleries in the deep underground for disposing high level radioactive waste, an excavation disturbed zone (EdZ) or excavation damaged zone (EDZ) is developed around the shafts and galleries owing to the stress redistribution. Since the characteristic changes of the rock mass in the EdZ or EDZ affects the radionuclides migration behavior, it is important to understand the behavior of the EdZ or EDZ. Thus, we performed the in situ experiment to investigate the behavior of EdZ or EDZ as a collaborative research between Central Research Institute of Electric Power Industry (CRIEPI) and Japan Atomic Energy Agency (JAEA) in the 140m gallery in the Horonobe Underground Research Laboratory.
As a result of the geological observation, the extent of the fractures induced by the gallery excavation was clarified to be within 45cm from the gallery wall. The water contents measured at 1m and 2m apart from the gallery wall decreased by the gallery excavation. As a result of the hydraulic tests conducted at 3m apart from the gallery wall, hydraulic conductivity did not change by the gallery excavation. As a result of the seismic and electrical resistivity tomography, P-wave velocity decreased and electrical resistivity increased within 1m from the gallery wall. From the results of the geological observation and the measurements of water contents, the changes of P-wave velocity and electrical resistivity occurred by fractures and unsaturation zones caused by the gallery excavation.
報告書年度
2017
発行年月
2017/12
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
窪田 健二 |
地球工学研究所 地圏科学領域 |
共 |
中田 英二 |
地球工学研究所 地圏科学領域 |
共 |
大山 隆弘 |
地球工学研究所 バックエンド研究センター |
共 |
杉田 裕 |
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 バックエンド研究開発部門 |
共 |
青柳 和平 |
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 バックエンド研究開発部門 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
高レベル放射性廃棄物処分 | High level radioactive waste disposal |
掘削影響領域 | Excavation disturbed Zone (EdZ) |
堆積性軟岩 | Sedimentary soft rock |
物理探査 | Geophysical exploration |
透水試験 | Permeability test |