電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
N16008
タイトル(和文)
耐ギャロッピング設計手法の開発(その1)-松林理論と数値シミュレーションとの設計基準全振幅の比較-
タイトル(英文)
Development of anti galloping design method (Part 1) - Comparison of design standard total amplitude between Matsubayashi theory and numerical simulation -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
従来,送電線の耐ギャロッピング設計法の一つとして,慣例的に松林理論※1と称される評価法が適用されている.ただし,経験則と確率論に基づく松林理論については,長径間の線路や平地における設計には適用し難いことが指摘されている.一方,近年の数値解析技術により,ギャロッピングの現実的なシミュレーションが可能となっている[1].今後,松林理論をより合理化し,耐ギャロッピング設計に適用する上で,数値解析との比較,検証を踏まえ,松林理論の改良点を明らかにする必要がある.
目 的
松林理論の採用する設計基準全振幅率およびギャロッピングモードについて,決定論的な数値シミュレーション結果との関係を明らかにする.
主な成果
CAFSSにより風速,着雪および構造条件をパラメータとしたシミュレーションを実行し,松林理論との間で設計基準全振幅率と代表モードを比較した.
1. 設計基準全振幅率の比較
CAFSSによる鉛直変位の振幅値,および標準偏差に基づき,松林理論の定める設計基準全振幅率※2(以下,βと称す)に相当する無次元化振幅を算出した.これらをβと比較した結果,いずれもβと同様,線路常数※3の増加に伴い減少することを確認した.また,βは,CAFSSによる標準偏差に基づく無次元化振幅に相当し,この無次元化振幅には風速依存性があることを明らかにした.
2. ギャロッピングの代表モードの比較
βの前提となる松林理論のギャロッピングの代表モードと,CAFSSによるギャロッピングのモード,および固有値解析結果を比較した.シミュレーション時に励起された可能性のある複数の固有モードと,松林理論の代表モードそれぞれに対応する振動数が概ね一致することを明らかにした.この一致は特に強風条件下で良く,複数のモードを代表モードとして定めた松林理論の合理性が認められる.
今後の展開
本検討結果を踏まえ,松林理論を基本とし,風速に対するギャロッピング振幅の依存性などを考慮した,新たな耐ギャロッピング設計法を提案する.
注)※1確率論と経験則に基づくギャロッピングを考慮した送電線の装柱設計法.設備耐用年数内の電線の最大振幅を推定する.
※2松林理論が採用する設計基準値であり,設計基準全振幅を弛度で除した無次元化振幅.
※3松林理論が採用する,送電線の構造特性を示す無次元量であり,線種(物性値),径間長,張力などから決定される.
関連報告書:[1]N10027「送電線のギャロッピング解析コードCAFSSの機能拡張とその適用事例」(2011.5)
概要 (英文)
The anti galloping design theory which is called"Matsubayashi theory"has been applied conventionally. However,it is pointed out that Matsubayashi theory is hard to apply to a design in a flatland as well as long span transmission lines,and the theory cannot become the decisive design theory.Therefore.in this study,we conducted parametric galloping simulations using CAFSS,calculated non-dimensional amplitude which is equivalent to design total amplitude rate (referred to as beta0)and compared it with beta0 prescribed by Matsubayashi theory.As a result, the non-dimensional amplitude almost agreed with beta0 prescribed by Matsubayashi theory including a tendency to decrease with the increase in line constant. In addition, we showed the validity of representative mode and period of vibration by Matsubayashi theory in terms of the consistency with eigenvalue analysis results of CAFSS. Furthermore, because this consistency was seen under strong wind condition, rationality of Matsubayashi theory that determined plural modes as a representative mode was confirmed.
報告書年度
2016
発行年月
2017/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
清水 幹夫 |
地球工学研究所 構造工学領域 |
共 |
西原 崇 |
地球工学研究所 流体科学領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
送電線 | transmission line |
ギャロッピング | galloping |
線路常数 | line constant |
設計基準全振幅 | design standard total amplitude |
数値シミュレーション | numerical simulation |