電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

※ PDFのファイルサイズが大きい場合には、ダウンロードに時間がかかる場合がございます。 ダウンロードは1回のクリックで開始しますので、ダウンロードが完了するまで、複数回のクリックはなさらないようご注意願います。

電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

N16004

タイトル(和文)

部分模型を用いた架空送電線のギャロッピング現象の解明(その4)-ルーズスペーサのルーズ把持配置のギャロッピング抑制効果への影響-

タイトル(英文)

A study on galloping of overhead transmission line using sector model, Part4 -Galloping suppression effect depending on rotational clamps arrangement of loose spacers -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
4導体送電線では着氷雪時のギャロッピング対策品としてルーズスペーサが広く用いられている.当所では,実規模試験線での観測による対策効果検証に加え,実径間と等価なギャロッピングを再現可能な風応答測定実験により,「片側配置」のルーズスペーサの対策効果発現メカニズムを明らかにした[1].「片側配置」では2本のルーズ把持導体を主風向に対して風上側に配置するが,逆風向からの事象での応答挙動や,ルーズ把持導体の配置が異なる「対角配置」との対策効果の違いは十分に把握されていない.
目 的
主風向・逆風向からの両事象に対して,「片側配置」と「対角配置」のルーズスペーサの対策効果を比較して,設置地域の風向特性に応じた配置選定の考え方を示す.また,配置により効果が異なる要因や着氷雪発達性状が対策効果に与える影響を明らかにする.
主な成果
導体の風上側に着氷雪がある場合において,ルーズスペーサの回転機構や設置径間の着氷雪状況を模擬した3種類の部分模型(ルーズ模型)を用いて,各配置(図1)に対する風応答測定実験および空気力測定実験を行い,以下を明らかにした.
1. ルーズ把持導体の配置による対策効果の違いおよび配置選定の考え方
ルーズ模型では,「片側配置」の場合,主風向からの事象に対して顕著な対策効果を示すが,逆風向からの事象では無対策時に比べてギャロッピングが発生しやすくなることがある(図2).一方,「対角配置」では,両風向に対してある程度の対策効果を示す.そのため,着氷雪が生じて強風が作用する風向が一定の地域では「片側配置」を選定することが望まれ,そのような風向が一定でない地域では「対角配置」も選択肢となる.
2. 配置により対策効果が異なる要因や着氷雪発達性状が対策効果に与える影響
三角着氷雪を模擬したルーズ把持導体が空気力に応じて回転するルーズ模型では,ルーズ把持導体に作用する揚力・抗力が固定把持導体と異なることで対策効果が生じ,ルーズ把持導体の配置による対策効果の差異は,4導体電線全体に作用する静的な空力モーメント特性の違いに主に起因する(図3).また,三角着氷雪を模擬したルーズ把持導体の向きを80度変えて固定したルーズ模型や,ルーズ把持導体の着氷雪形状を円筒状にしたルーズ模型でも,配置による対策効果の違いは同じ傾向を示す.したがって,配置による対策効果の違いに対して,ルーズ把持導体の動的挙動や着氷雪形状の影響は小さい.
今後の展開
着氷雪後に風向が変化して,導体の風下側に着氷雪がある場合の対策効果を評価する.

概要 (英文)

In this study, to compare the galloping suppression effect depending on rotational clamps arrangement of loose spacers used in four-bundled conductors, we performed large-amplitude, low-frequency vibration tests and aerodynamic measurement tests using sector models of four-bundled conductors with various arrangements of rigid and rotatable sub-conductors ("one-sided" and "diagonal" arrangements). Three types of the rotatable sub-conductor model were used in these tests to physically simulate the rotational characteristics and ice accretion shapes. From the test results, it was observed that when the ice accretes in the conductor in the assumed wind direction, the four-bundled conductors with one-sided loose spacers, in which two rotatable sub-conductors are placed at the upwind side, are more effective than those with diagonal loose spacers. However, when ice accretes in the direction opposite to the wind direction, the four-bundled conductors with one-sided loose spacers, in which two rotatable sub-conductors are placed at the downwind side, have a tendency to encourage galloping more than those without an anti-galloping device. In contrast, the diagonal loose spacers provide a suppression effect regardless of the wind direction. These differences are caused by the aerodynamic moment acting on the entire four-bundled conductor and depends on the arrangement of the rotatable sub-conductors; the suppression effect is observed when the aerodynamic moment acts in the direction opposite to that of the attack angle.

報告書年度

2016

発行年月

2017/03

報告者

担当氏名所属

松宮 央登

地球工学研究所 流体科学領域

西原 崇

地球工学研究所 流体科学領域

キーワード

和文英文
ギャロッピング Galloping
架空送電線 Overhead transmission line
4導体電線 Four-bundled conductors
ルーズスペーサ Loose spacer
風洞実験 Wind tunnel test
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry