電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
M18005
タイトル(和文)
バイオマスを構成する中性糖の簡便な定量法の提案
タイトル(英文)
A simple method for the neutral sugar analysis of lignocellulosic biomass
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
植物バイオマスの主要構成成分であるセルロースおよびヘミセルロース等の多糖類は、植物細胞壁に存在することで、強固な複合体構造をしている。そのため、植物バイオマスを燃料や化成品原料に変換利用するには、その構造を解析したうえで、適した改質法を検討する必要がある。このためには、多糖類を構成する中性糖を定量する方法の構築が不可欠である。
目 的
植物バイオマスの主要な構成成分である中性糖の迅速かつ簡便な定量法を構築する。また、バイオマスの構造解析における中性糖定量法の有効性を明らかにする。
主な成果
1.中性糖の簡便な定量法の構築
中性糖の定量にあたっては、新たに固相中和カラムを導入することで、中和滴定および固液分離等の煩雑な前処理操作を不要とした。またガスクロマトグラフ(GC)に代えて、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用い、その分離カラムおよび移動相条件等を適宜選定することで、誘導体化および乾固洗浄等が不要となり、従来法注2)に比較して迅速かつ簡便な中性糖の定量が可能となった。
2.中性糖定量法を用いたバイオマスの構造解析
BPの中性糖を定量分析したところ、針葉樹に多く含まれるマンノースの含有率が高く、原料に針葉樹を含むことが示唆された。このことから、BP等について、その由来する植物種(広葉樹、針葉樹あるいは草本)を中性糖の定量分析から判別できる可能性があることが示された。
木質炭化バイオマス(TB)では、ヘミセルロースを構成する中性糖の含有率が減少していることが分かり、中性糖の定量分析から炭化の進行度合いを推定できることを確認した。
TB粉砕試料の中性糖を定量することで、粉砕されにくく、粒子径の大きい試料ほど、ヘミセルロース/セルロース比(H/C比)が高いことが分かった。このことから、H/C比の高い部分は粉砕性が低いと考えられ、中性糖を定量分析し、H/C比を求めることで、粉砕性の評価に活用できる可能性があることが示された。
今後の展開
中性糖定量法を用いた植物バイオマスの微細構造解明、燃料としての品質評価および改質技術の提案に取り組む。
概要 (英文)
Lignocellulosic biomass is the most abundant carbon-neutral and renewable resource on earth. In order to produce biofuels and other value-added chemicals from lignocellulosic biomass, the complex structure of polysaccharides must be evaluated. In this study, a simple method for the neutral sugar analysis of lignocellulosic biomass was proposed. Because of avoiding complicated operation steps (e.g. acid-base titration and derivatization), this method is expected to be a simple method compared with traditional gas chromatographic method. The method was applied for the lignocellulosic biomass samples (wood pellet and torrefied pellet) and the mixtures of coal and biomass. Because the approximate neutral sugar composition of lignocellulosic biomass is depend on plant species (e.g. hardwood, softwood, and grass biomass), the feedstock of biomass pellet might be estimated by the content of neutral sugars. The neutral sugar analysis also showed that the ground sample with a large particle size showed the high hemicellulose/cellulose ratio. The simple method for the neutral sugar analysis of lignocellulosic biomass might be a promising method for the evaluation of complex structure of cell wall, the evaluation of quality of biofuels, and the development of conversion technology of lignocellulosic biomass.
報告書年度
2018
発行年月
2019/03
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
櫻木 潔 |
エネルギー技術研究所 エネルギープラットフォーム創生領域 |
共 |
大高 円 |
エネルギー技術研究所 エネルギープラットフォーム創生領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
バイオマス | Biomass |
中性糖 | Neutral sugar |
バイオリファイナリー | Biorefinery |
リグノセルロース系バイオマス | Lignocellulosic biomass |
炭化バイオマス | Torrefied biomass |