電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
M18003
タイトル(和文)
アドバンスト高湿分空気利用ガスタービン(AHAT)システムの研究開発 -第4報 実証機による長期信頼性評価と商用機スケールシステムの検討-
タイトル(英文)
R & D on the Advanced Humid Air Gas Turbine (AHAT) System -Part IV Confirming long-term reliability using a pilot plant and examining a commercial-scale system-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
火力発電には、熱効率の向上に加え、出力が不安定な再生可能エネルギー電源増加への対応のため、さらなる機動性の向上が求められる。これらが期待できる新たなシステムとして、アドバンスト高湿分空気利用ガスタービン(以下AHAT、(図1))がある。三菱日立パワーシステムズ(株)、住友精密工業(株)と当所はAHATの研究開発を推進し、要素技術開発を行うと共に、3MW級および40MW級試験装置によりシステムの成立性や各種特性を示してきた[1] - [3]。研究開発の最終段階として、長期信頼性ならびに商用機スケールシステムの全体イメージや熱効率、機動性を明らかにする必要がある。
目 的
40MW級試験装置を改造し、加湿水量の増加および全回収を可能とした実証機(図2)を用いて、長期信頼性(起動回数100回、等価運転時間注1)10,000時間を目標)を評価する。また、開発目標である200 MW級の商用機スケールシステムの概念設計を行い、レイアウト等全体イメージや熱効率を明らかにし、動特性解析により機動性を評価する注2)。
主な成果
1. 実証機の運転試験による長期信頼性の評価
実証機において、サージ裕度や燃焼安定性、タービン翼温度特性等、各要素機器の運転安定性を確認し、トラブル無く目標の起動回数、運転時間を達成した(図3)。また、運転時間内において水系統循環水の水質を維持できたこと、各機器での損傷に対する外観検査や材料腐食の定量評価の結果等から、長期信頼性を有することが確認できた。
2. 商用機スケールシステムの概念設計
これまでの研究成果を反映して、商用機スケールシステムの概念設計を行った。その結果、各要素機器の仕様、システム系統やレイアウト等の全体イメージを示すことができ、また、目標熱効率の発電端効率57%(LHV)達成の見込みが得られた(図4)。
3. 商用機スケールシステムの動特性解析による機動性の評価
概念設計で得た機器仕様やシステム系統等から商用機スケールシステムの動特性解析モデルを構築し、解析を行った。その結果、起動時間注3)として、コールド状態から30分、ホット状態からは15分、また、出力変化率について、部分負荷帯では15%/分を達成できる見通しを得た。これらから、AHATはガスタービンコンバインドサイクル(以下、GTCC)に比べて優れた機動性を有することを示せた(表1)。
以上の通り、AHATについて、長期信頼性ならびに商用機スケールシステムの全体イメージや熱効率、機動性を示すことができ、所期の目標を達成した。
概要 (英文)
Higher thermal efficiency and operational flexibility are required for next-generation thermal power systems to reduce CO2 emission and compensate for the unstable power output of renewable energy generation systems. The advanced humid air gas turbine (AHAT) system is expected to meet these requirements. This system is a regenerative gas turbine cycle using humid air and is expected to achieve higher performance than that of a combined cycle, even though it does not require a steam turbine. The system concept and cycle characteristics of the system have been verified by operating 3MW-class and 40MW-class test plants so far. However, the long-term reliability, the design and operating flexibility of a commercial-scale system have not yet been sufficiently clarified. Therefore, we operated a pilot plant for an equivalent operating time of over 10,000 hours to confirm the reliability and stability, and examined the conceptual design of a 200MW-class commercial-scale system to clarify each piece of equipment and the system configuration. Moreover, we developed a dynamic simulation model of the commercial-scale system and analyzed its operating flexibility in terms of various factors such as the start-up time, load change rate, and frequency response characteristics.
報告書年度
2018
発行年月
2019/03
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
高橋 徹 |
エネルギー技術研究所 次世代火力発電領域 |
共 |
渡邉 泰 |
エネルギー技術研究所 次世代火力発電領域 |
共 |
吉田 正平 |
三菱日立パワーシステムズ株式会社 ターボマシナリー本部GT技術総括部 |
共 |
麻尾 孝志 |
三菱日立パワーシステムズ株式会社 エンジニアリング本部プロジェクト総括部 |
共 |
佐藤 和彦 |
三菱日立パワーシステムズ株式会社 エンジニアリング本部プロジェクト総括部 |
共 |
荒木 秀文 |
三菱日立パワーシステムズ株式会社 エンジニアリング本部プロジェクト総括部 |
共 |
辻井 潤一 |
住友精密工業株式会社 熱エネルギー技術部 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
ガスタービン | Gas turbine |
高湿分空気 | Humid air |
信頼性 | Reliability |
商用機 | Commercial plant |
運用性 | Flexibility |