報告書番号

M16001

タイトル（和文）

火力ボイラ水冷壁管の溝状腐食に対する耐硫化腐食コーティング(CRIEPI coat)の効果

タイトル（英文）

Effects of CRIEPI coat for preventing circumferential cracking on boiler tubes in thermal power plant

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

背 景
石炭および石油火力発電所ボイラ水冷壁管では出力調整、灰の付着脱落等に伴い熱サ
イクルの影響を受け、溝状腐食が発生している(図１)。その発生場所は多くの範囲で硫
化腐食の発生部と重なっており、溝状腐食の進行は硫化腐食により加速される。腐食が
著しい場合は、管の交換、肉盛補修等が行われ、補修コストの押し上げ要因となってい
ることから、低コストな対策が望まれている。当所は低コストかつ施工が容易な耐硫化
腐食コーティング(CRIEPI coat 注1))を開発・実用化しており、CRIEPI coat により溝状腐食の
加速要因である硫化腐食を抑え、溝状腐食の進行を抑制できる可能性がある。
目 的
当所開発のCRIEPI coat が溝状腐食部において耐久性を持つことを確認するとともに、
溝状腐食の進行・発生に対する抑制効果を検証する。
主な成果
1. CRIEPI coat の溝状腐食部における耐久性および溝状腐食進行抑制効果
CRIEPI coat の耐久性確認のため、溝状腐食が顕在化した試験片にCRIEPI coat を施工し、
実機環境を模擬した熱サイクル試験を実施した。その結果、CRIEPI coat はき裂部で顕著
な割れを生じることなく、熱応力の変化に追従し、耐食性を維持していることが分かっ
た。また、試験前後のき裂の進展は、CRIEPI coat 部では未施工部に比べて小さく、溝状
腐食の進行が抑えられることが分かった(図２)。
2. CRIEPI coat の溝状腐食発生抑制効果
1000 サイクルの熱サイクル試験後の初期き裂のない基材表面において、図3 に示すよ
うに未施工部ではき裂が発生しているが、CRIEPI coat 部ではき裂の発生は見られておら
ず、CRIEPI coat 施工により溝状腐食の発生を抑制できることが分かった。
3. 実機でのCRIEPI coat の溝状腐食抑制効果
石炭火力および石油火力ボイラ実機において溝状腐食が顕在化したボイラ水冷壁管に
CRIEPI coat を施工し、約2 年間の検証試験を行った。その結果、CRIEPI coat に溝状腐食
に起因した劣化が一部見られたものの硫化腐食による減肉が抑えられているとともに、
溝状腐食のき裂進展も同時に抑えられていることが分かった(図４)。
今後の展開
CRIEPI coat のさらなる耐久性向上に向けた改良を行い、実機での検証を行う。

概要 （英文）

In thermal power generation equipment, there has been a problem of circumferential crack on boiler tubes due to thermal cycle. The area of are circumferential crack is almost same as the area of sulfide corrosion. The circumferential crack growth depend on the sulfide corrosion. If the water wall thin down the minimum required thickness, weld cladding, or simple replacement of the affected part is needed. These measures add much to the cost and time of periodic inspection and repair. Thus, there is much interested in developing an inexpensive and convenient way to suppress the circumferential crack. We already developed an economical and straight forward technique of coating (CRIEPI coat) for preventing sulfide corrosion on boiler tubes.
The developed coating (CRIEPI coat) is confirmed to be useful for suppressing the circumferential crack in the laboratory experiments and some actual power plants. CRIEPI COAT, which is coated on the circumferential cracked boiler tubes, is not cracked and reduced growth of circumferential crack than compared with an uncoated part.

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