電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
M07013
タイトル(和文)
液化DME脱水技術の氷点下での凍結固体燃料脱水への適応性評価
タイトル(英文)
Development of drying technology for iced solid fuel below freezing point by DME dewatering technology.
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
高水分の石炭やバイオマスの脱水技術の開発は、それらの利用効率の向上に極めて有効になる。当所が開発したDME(ジメチルエーテル)脱水法は、常温で亜瀝青炭、褐炭などの高水分炭やバイオマスを脱水可能であり、しかも所要動力を既存技術に比べて大幅に低減できる特徴がある。しかし、ロシア、カナダ、米国、中国、EUなど、北方や内陸地の国々では、冬期を中心に外気温が氷点下になる場合があり、高水分炭やバイオマスが凍結している可能性が高い。これに対し、DMEの標準沸点は約-25℃、標準融点は約-142℃であるため、地球上で最も厳しい寒冷地でも凍結しない。すなわち、氷がDMEに直接溶解すれば、氷点下のままでの脱水が実現できる可能性がある。
本研究では、氷点下における、氷の液化DMEへの溶解可能性を評価し、液化DMEによる脱水技術の寒冷地への適用性を明らかにする。
主な成果
(1)試験管レベルのDME脱水カラム(10ml/バッチ)試験装置(図1・写真1)を、-10℃に保持した環境下において、冷凍庫にて凍結させたワラ炭(粒径4~8mm、含水率42.4wt%)を用いて、氷状の水分を脱水した。温度を考慮した理論最小水分量の2.4倍を流通させることにより、約44.5%の水分が分離でき、褐炭に近いレベルだったワラ炭の含水率を、亜瀝青炭としては標準レベルの28.9wt%まで低減できた。なお、上流側はほぼ完全に脱水できていたが、下流側にはまだ氷状で水分が残留していたので、この含水率はさらに低減できる可能性があり、本方法は、寒冷地においても石炭の脱水法として有効な手法となり得ると思われる。また、DMEと分離後の水分は氷として取り出される。
(2)木片(杉)を水で湿らせ含水率68.9wt%に設定した後、冷凍庫内で凍らせ、同じ試験装置を用いてDME脱水実験を行った。石炭での脱水に比べ温度条件を更に厳しくし、-23℃に保持して行った。液化DMEを必要最少量の約1.6倍、流通した結果、約50%の重量の水分を分離でき、含水率を50wt%まで低減できた。
DME脱水法で氷を脱水できたことにより、寒冷地で産出する石炭、木質バイオマスの現地での脱水に見通しが立った。その上、氷中に保存される加熱に弱い物質を、氷点下で脱水できる可能性が示唆され、本技術のさらなる応用対象が広がった。
今後は、氷点下の脱水についても、早期実用化の可能性がある対象を抽出していく。
概要 (英文)
The proposed technology is a new concept and scientific area with the aim of energy-saving drying for frozon coal by using liquefied DME (dimethyl ether) gas. In this method, liquefied dimethyl ether (DME) is contacted with a iced coal. Thus ice in coal is extracted as water by the DME, and is formed mixture. Because of the low normal boiling point (-25C) of DME, liquid state is stable for DME and DME is easily used as extractant. DME dewatering technology reduces energy for water-removing to a half of the latent heat of water. We removed efficiently ice from coal by using DME below freezing point. DME gas is perfectly recycled and DME does not remain in those materials. We invented a drying method for iced coal below freezing point in cold district. Contaminated coal is dried almost. DME in the mixture is vaporized by decompression. This technology is effective in cold region where heat loss is very huge.
報告書年度
2007
発行年月
2008/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
神田 英輝 |
エネルギー技術研究所 燃料改質工学領域 |
共 |
牧野 尚夫 |
エネルギー技術研究所 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
ジメチルエーテル | Dimethylether |
脱水 | Drying |
凍結石炭 | Iced coal |
氷点下 | Below freezing point |
寒冷地 | Cold district |