電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

M06004

タイトル(和文)

液化DMEを水分抽出剤として用いる高水分炭の脱水プロセスの概念設計と所要動力の試算

タイトル(英文)

Estimation of required energy of energy-saving DME dewatering process for high-moisture coal using liquefied DME gas

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

2002年の電中研報告書で、高水分炭を高効率で利用可能にするための、新たな省エネ脱水方法と脱水プロセスを発明し、本プロセスの発明に至る考察と正当性の根拠、および、プロセスの基本構成と所要動力の試算結果を報告した。
本報告書では、より実機に適した構成へと脱水プロセスを改良し、所要エネルギーを計算した結果を報告する。本プロセスの構成は、以下の通りである。まず、脱水槽の内部で高水分炭を、液化ジメチルエーテル(DME)と接触させる。 この際、高水分炭の水分は、液化DMEによって抽出されて、液化DMEと水の混合液を形成する。液化DME中の水分濃度は飽和濃度(35℃の場合約8重量%)に達し、高水分炭はDMEによって完全に脱水される。過去の実験で自然発火しない水分10%程度に脱水炭の水分を調節することも可能であることも判明しているが、本試算では簡略化するため完全脱水を前提とした。脱水槽から出てきた液化DMEと水の混合液は、蒸発しやすいように僅かに減圧されて、沸点が下がった状態フラッシュ蒸留される。DMEは5気圧程度では常温で蒸発するので、沸点100℃の水とのフラッシュ蒸留は極めて容易であり、簡単にDMEを蒸発・分離できる。生じたDME蒸気は、圧縮機によって昇温・昇圧された後、冷却・凝縮される。凝縮の際に生じた凝縮潜熱は、圧縮機による昇圧により凝縮温度が高くなっており、先のフラッシュ蒸留における熱源に再利用できる。しかし、高温のDMEの凝縮潜熱は、低温のDMEと水の混合液の蒸発潜熱よりも小さいので、混合液の一部は蒸発しないので、後段で別工程が必要になる。
この後段の工程では、DMEを常圧近くまで減圧するので、蒸発と凝縮の圧力差が大きくなることから、所要エネルギーが大きくなる。このため、多段式フラッシュ蒸留と多段圧縮を用いて、所要エネルギーの増大を抑制した。試算の結果、プロセス全体の最高温度を50℃以下に抑制可能であることが明らかになった。また、MEの比熱比が1.11程度であることから、圧縮機の所要エネルギーを抑制可能であり、圧縮機の断熱効率と送電端効率を考慮した脱水の総エネルギーは1kgあたり1109kJに過ぎないことが明らかになり、2002年時の概略試算値1000kJを僅かに上回るものの、既往の脱水プロセスの所要エネルギー2100kJを著しく下回ることが改めて確認できた。

概要 (英文)

We had invented a new energy-saving dewatering method and process for high-moisture coal in 2002 CRIEIPI's report. In this report, the composition of the dewatering process is close to a practical plant, and the required energy is calculated.
Basic concept of the process is the below. Liquefied dimethyl ether (DME) is contacted with high-moisture coal containing water in dewatering can at room temperature. Thus water in the high-moisture coal is extracted by the DME, and is formed mixture DME and water. Water concentration in the DME asymptotically increase to the saturated concentration (f.e. 8wt% at 35 degrees C) and the high-moisture coal is dried almost perfectly. DME in the mixture is vaporized by decompression. DME and water are easily separated by flash distillation, because of large difference of boiling point between DME and water. DME vapor is compressed and cooled by a heat exchanger. Latent heat of the condensation is reused to vaporize the DME in the heat exchanger.
In the revised process, multistage compression and multistage flash distillation were employed. DME temperature increased into 50 degrees C by adiabatic compression, which is higher than that of the previous simple process. However, specific heat ratio of DME is only 1.11, thus energy consumption of the compressor can be reduced. Total energy for dewatering is about 1109kJfor 1kg of water, in which adiabatic efficiency of the compressor and the net thermal efficiency are considered. It was confirmed again the total energy is significantly smaller than that of all existing dewatering processes by this calculation.

報告書年度

2006

発行年月

2007/05

報告者

担当氏名所属

神田 英輝

エネルギー技術研究所 燃料改質工学領域

牧野 尚夫

エネルギー技術研究所

宮原 稔

京都大学大学院 工学研究科 化学工学専攻

キーワード

和文英文
高水分炭 High-moisture coal
脱水 Dewatering
ジメチルエーテル Dimethyl ether
プロセス設計 Process design
所要動力 Required energy
Copyright (C) Central Research Institute of Electric Power Industry