電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

L20005

タイトル(和文)

Nb添加PWR被覆管の微細組織観察と添加元素の照射挙動

タイトル(英文)

Observation of atomic redistribution in PWR cladding after neutron and self-ion irradiation

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
原子燃料をより長期間燃焼させることで使用済燃料の発生量低減、発電所の設備利用率の向上が期待できる。燃料被覆管は使用にともない炉内で発生する水素を吸収し、その機械的性質が低下する傾向にあるが、近年、加圧水型原子炉(PWR)で使用されるニオブ(Nb)添加ジルコニウム合金被覆管は、水素吸収量が少なく、長期使用を想定した場合にも被覆管の強度基準を満たすと見込まれる注 )。水素吸収量の低減はNb添加の効果と推定され、被覆管健全性の検討において、その性質の長期的な予測に高い関心がもたれている。Nb添加の効果の科学的理解を進めるには、被覆管中のNb分布の照射による変化、および他の添加元素との関係を明らかにする必要がある。

目  的
Nb添加PWR被覆管注 )の微細組織をアトムプローブおよび透過電子顕微鏡により観察・分析し、照射による被覆管中のNb分布の変化、および他の添加元素との関係を明らかにする。
主な成果
1. 照射前の添加元素の分布
・Nbは被覆管のジルコニウム母相へ微量に溶解することが知られている。アトムプローブ分析から、照射前の母相のNb濃度は約0.2 - 0.4 at%であることを確認した。
・母相に溶解しなかったNbは、母相に溶解しない鉄(Fe)およびクロム(Cr)と初期形成析出物を母相中に形成する、または母相の結晶粒界に濃化することを確認した。
2. 照射による分布の変化
・照射後、母相のNb濃度は0.1 at%以下に低下した。一方、母相中にNbを主成分とする新たな析出物(照射誘起析出物)およびNbナノクラスターを形成した。照射誘起析出物とNbナノクラスターは、照射により母相に溶解するNbから形成したと考えられる。
・照射により初期形成析出物のFe、Cr濃度は低下した。FeとCrは母相へ溶出し、Fe - Crナノクラスターを形成した。一方、初期形成析出物から母相へのNbの溶出は確認されなかった。

概要 (英文)

Microstructures of neutron-irradiated and ion-irradiated PWR cladding were observed by atom probe and transmission electron microscopy in order to investigate the irradiation induced redistribution of alloying elements, which is important to clarify the mechanism of corrosion and hydrogen absorption phenomena of cladding at high burnup. The results were compared with those of ion-irradiated Zr-Nb binary alloys to estimate the relationship between Nb and other additives. The matrix Nb concentration in solid solution decreased after irradiation, and irradiation-induced precipitates of Nb nanoparticles and Nb-rich precipitates were identified in the matrix phase and grain boundaries. There was no significant difference in the Nb concentration between the PWR cladding matrix and the Zr-Nb alloy matrix after irradiation, and the addition of Sn had no effect on the Nb concentration in solid solution. Two types of Zr-Fe-Cr-Nb precipitates were identified as initially formed precipitates in the PWR cladding. In both types of precipitates, most of the Fe dissolved into the matrix phase in the early stage of irradiation, while Cr dissolution was slow and remained in the precipitates after irradiation. The dissolved Fe and Cr formed nanoclusters around the precipitates. The irradiation behavior of these alloying elements showed the same trends as that of Zircaloy cladding and Nb-doped cladding.

報告書年度

2020

発行年月

2021/04

報告者

担当氏名所属

澤部 孝史

原子力技術研究所 燃料・炉心領域

中森 文博

原子力技術研究所 燃料・炉心領域

園田 健

原子力技術研究所 燃料・炉心領域

キーワード

和文英文
燃料被覆管 Fuel cladding
Zr-Nb合金 Zr-Nb alloy
中性子照射 Neutron irradiation
アトムプローブ APT
透過電子顕微鏡 TEM
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