電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

L20001

タイトル(和文)

PUREX再処理法における軽水炉使用済UO2燃料/MOX燃料混合処理の適用性検討

タイトル(英文)

Feasibility study for LWR spent UO2/MOX fuel mixing process using PUREX reprocessing process

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
軽水炉使用済UO2燃料の再処理より発生するプルトニウム(Pu)は、高速炉の導入が見通せない中で、当面は軽水炉MOX 燃料として利用することとしており、発生する使用済MOX燃料の扱い方の検討も必要となる。仏国での実績等を参考にすると、MOX燃料をUO2燃料と適切に混合することによりPUREX再処理法において処理できる可能性があり、次期再処理工場スペック検討の有望なオプションの一つである。ただし、MOX燃料処理では、UO2燃料と比べてPu濃度やα線量が増加することに起因する課題がある。
目  的
UO2燃料とMOX燃料*をUO2:MOX=9:1~2:1の割合で混合してPUREX再処理法で処理する場合の課題を抽出し、文献調査や、当所がこれまでに実施した試験の結果や開発した計算コードを用いた解析により課題を検討し、最適な混合割合等を評価する。
主な成果
UO2燃料とMOX燃料の混合処理では、図1に示す課題があげられ、特に、①軽水炉MOX燃料の溶解性、②分離工程への影響、③Pu分配工程成立性、④溶媒劣化の増加、⑤ガラス固化工程及びガラス固化体への影響は、プロセス成立性に関わる課題である。
①軽水炉MOX燃料の溶解性: MOX燃料に対しては、Puの溶け残りを防止するために、UO2燃料(3~4規定)よりも高い(5~7規定)酸濃度の溶解液を用いる必要がある。
②分離工程への影響: 実プラントではUO2とMOX燃料を別々に溶解し、それぞれの溶解液を混合することとなる。分離工程へ供給される燃料溶解液のPu濃度と酸濃度が高くなるものの、想定した混合割合では分離工程に大きな影響を与えないことを確認した。
③Pu分配工程成立性: Pu濃度の増加に伴いこれまでの還元剤濃度では、還元剤の不足によりPuの還元が十分に進まなくなる。供給する還元剤U4+濃度の増加(105→200g/Lまでの増加)と組み合わせることにより、混合割合UO2:MOX=4:1程度までは適切にPuの還元が行われ、十分に運転裕度をもってPuとUの分離がおこなわれることがわかった(図2)。
④溶媒劣化の増加: 処理するPu量の増加にほぼ比例して抽出剤TBPの劣化により発生するDBP**量も増加するが、溶媒洗浄工程で適切にDBPを除去できれば、混合割合UO2:MOX=4:1まででは、工程内のDBP濃度が基準値に達しないことが分かった。
⑤ガラス固化工程及びガラス固化体への影響: MOX燃料の発熱量が大きいため、MOX燃料混合割合の増加に比例し、燃料重量当たりのガラス固化体発生本数が増加する(発熱量制限)。ただし、UO2:MOX=4:1程度までの混合割合では、1割程度の増加で収まる。
以上の検討から、UO2燃料とMOX燃料を混合割合UO2:MOX=4:1程度まで混合しても、PUREX法で再処理可能であることが分かった。
*:Pu富化度約9%を想定している。
**:抽出剤であるTBP( トリブチルリン酸)の一つのリン酸基が放射線分解等で乖離したもの(ジブチルリン酸)。

概要 (英文)

Because spent LWR MOX fuels contain much Pu and have also higher radioactivity than spent UO2 fuels, the spent MOX fuel could not be treated alone in PUREX process which is adopted in commercial reprocessing plants. Then, small amount of spent MOX fuel is diluted with the UO2 fuel and the mixed fuel treatment is examined under the normal PUREX operation condition. MOX fuel must be dissolved in higher acidity solution than UO2 fuel for the avoidance of insoluble Pu and the obtained two kinds of the fuel dissolved solution will be blended and the mixed fuel dissolution solution will be introduced into a separation process. The increases of Pu and acid contents in the mixed solution have not so much influence on the performance of separation process because of larger flow rate of organic phase that extracts U, Pu, also acid. In the mixed fuel treatment, Pu content increases and some part of Pu could not be separated from U in a partition process because of shortage of reducing agent (U4+). If the concentration of reducing agent can be increased, up to 20wt% of MOX fuel can be mixed with UO2 and all Pu4+ in the organic is reduced to Pu3+, which is reextracted by aqueous phase. More organic phase will be degraded by radioactive under the mixing fuel treatment. If DBP can be removed from the organic phase by washing in a solvent regeneration process, DBP in the process does not increase over the criteria concentration when up to 20wt% MOX fuel is mixed with UO2 fuel. Because high level liquid waste from the mixing treatment contains much heat generation nuclides such as Am or Cm, numbers of high-level glass waste will be increased by heat generation limit. Mixing treatment of 20wt% MOX fuel with UO2 fuel results in a 10% increase in the number of the high-level glass waste.

報告書年度

2020

発行年月

2020/12

報告者

担当氏名所属

塚田 毅志

原子力技術研究所

キーワード

和文英文
軽水炉MOX燃料 LWR MOX fuel
PUREX再処理法 PUREX process
混合燃料処理 Mixed fuel treatment
分離工程 Separation process
分配工程 Partition process
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