電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
L18001
タイトル(和文)
核物質量の受払間差異発生要因に関する検討 -3次元集合体燃焼計算を用いた炉内隣接条件の影響評価-
タイトル(英文)
Analysis on Factors Generating Shipper/Receiver Difference of Nuclear Material - Effects of Adjacent Condition in Core based on Three-dimensional Depletion Calculations -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
・背景
原子力発電所から払い出される核物質量の計算値と、受け入れる再処理施設での核物質量の計量値との差を受払間差異(SRD)と呼ぶ。IAEAより保障措置の観点からSRD低減に向けた継続的な活動が求められており、当所では「燃焼計算コード検証委員会(2009~2011年)」を開催するなど、SRD低減に向けた検討を継続的に実施している。燃料集合体は、運転中の炉内で特性の異なる燃料集合体と隣接し、中性子のやりとりを通じて、燃料棒毎の出力や燃焼の進行具合などに影響を及ぼし合っている。しかし、通常、核物質量を評価する燃焼計算は単一集合体体系で実施されているため、燃料集合体の隣接条件が核物質量の計算値に及ぼす影響を把握する必要がある。
・目的
隣接条件を考慮した核物質量の計算手法を考案し、PWR平衡炉心における典型的な隣接条件に適用することで、核物質量の計算値に対する隣接条件の影響を評価する。
・主な成果
1. 隣接条件を考慮した核物質量の評価手法の考案
隣接条件を考慮して燃料集合体単位の核物質量を評価するため、次の手法を考案した。まず、単一の燃料集合体を直接3次元的に取り扱った燃焼計算により、集合体高さ(ノード)毎の平均燃焼度を作成する(図1左)。次に、得られたノード平均燃焼度を入力として、着目する燃料集合体の周囲を隣接する燃料集合体で取り囲んだ体系(図1右)で、ノード毎に燃焼計算を実施することにより、隣接条件を考慮した燃焼計算を実現する。隣接条件は燃料集合体の装荷パターンに従ってサイクル毎に変更する。最後に、ノード毎の核物質量を足し合わせ、最終的な燃料集合体単位の核物質量を得る。
2. PWR平衡炉心における典型的な燃料装荷パターンへの適用
3ループPWRの平衡炉心における燃料集合体の典型的な装荷パターンを用いて、上記手法により隣接条件を考慮した解析を実施し、隣接条件を考慮しなかった場合の解析結果と比較することで、核物質量の評価値に対する隣接条件の影響を評価した。隣接する燃料集合体の組成は当該サイクルの代表値とした。計算には高精度な参照コードとして国内で広く使用されている燃焼計算コードMVP-BURNを用いた。今回の解析条件では、隣接条件を考慮することにより、4サイクル終了時点で235U量は2~4%程度、Pu量は1~2%程度小さく評価されることが明らかになった(図2)。この差異は主に、燃料集合体が炉心外周部に配置された際の中性子スペクトルの変化によるものである。
概要 (英文)
As a factor causing Shipper/Receiver Differences of nuclear material mass between nuclear power plants and reprocessing plants, effects of adjacent fuel assemblies in depletion calculations are focused in this report. In an equilibrium core, a fuel assembly is surrounded by fuel assemblies with different nuclear property every cycle. The amount of nuclear material, however, is evaluated by depletion calculations in single assembly geometry. In the present study, depletion calculations are carried out in 3 by 3 assembly geometry considering typical fuel loading patterns in a 3 loop PWR equilibrium core with the MVP-BURN code. Here, the detailed geometries of core structures are neglected for simplicity. These calculations are done for each node with axial burnup distribution evaluated by three-dimensional single assembly geometry. Depletion calculations in single assembly geometry are also performed in the same calculation condition for comparison. The results showed that the effects considering the adjacent fuel assemblies are -2.1 ~ -3.9% for 235U, +0.046 ~ +0.077% for 238U, +0.016 ~ +0.031% for U-Total, -0.52 ~ -2.4% for 239Pu, -0.40 ~ -2.1% for 241Pu and -1.2 ~ -2.3% for Pu-Total in the end of cycle4. These results show detailed modeling of adjacent fuel assemblies and boundaries are required for accounting fuel material mass.
報告書年度
2018
発行年月
2019/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
佐藤 駿介 |
原子力技術研究所 燃料・炉心領域 |
共 |
名内 泰志 |
原子力技術研究所 燃料・炉心領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
受払間差異 | Shipper/Receiver Difference |
使用済燃料 | Nuclear Spent Fuel |
核物質量 | Nuclear Material |
燃焼計算 | Depletion Calculation |
隣接燃料 | Adjacent Fuel Assembly |