電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
L15002
タイトル(和文)
流れ加速型腐食起因の減肉傾向に対する旋回流の影響評価
タイトル(英文)
Evaluation of Swirl Flow Effect on Pipe Wall Thinning Phenomenon by Flow Accelerated Corrosion
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
原子力プラントの運用・管理において、配管減肉事象は重要な問題であり、流れ加速型腐食(FAC)は大規模な破口の発生原因となる可能性もあり注意が必要である。過去に実機プラントで発生した配管破損事故では、配管分岐部で形成された旋回流が、下流のオリフィス部におけるFAC挙動に影響を与えたとされている。しかし、その影響の度合に対する定量的な評価はなされていない。当所は、これまでに減肉管理の高度化を目指して減肉予測手法の研究開発を進めてきた。予測手法に旋回流の影響を考慮するためには、旋回流の発生条件や減肉傾向に与える影響因子を定量的に評価する必要がある。
本研究では、旋回流を伴う配管レイアウトに対して数値流動解析を実施し、解析結果を当所の減肉予測モデルに与えることで、旋回流がFACによる減肉傾向に与える影響の評価を行った。
配管分岐部とエルボを組み合わせることで、異なる平面上で向きを変えるように接続した連続配管要素における旋回流の発生条件について評価した。旋回強さを表す指標(スワール数)の評価結果から、分岐の下流にエルボが配置された配管レイアウトで最も顕著な旋回流が発生し、特にエルボの曲率半径が小さい場合にスワール数が大きくなることが示された。
上記の結果を踏まえ、分岐-エルボの下流にオリフィスを配置した体系で減肉傾向の把握を行った。スワール数が約0.2以上の条件では、オリフィスで発生した高速噴流(ジェット)が偏り、配管壁面に付着する様子が確認された。これにより、ジェットが付着した領域の周辺で局所的な流速の増加や乱れが引き起こされ、FACの流動因子である物質移動係数が増大する結果となった。また、直管に対する相対的な減肉量(形状係数)を評価したところ、現行の減肉予測モデルにおけるオリフィス部の減肉量に比べて、スワール数が小さい場合は約2倍、大きい場合は約4倍の値となった。以上の結果から、旋回流に起因した流動の局所性が減肉傾向の増大に寄与することが示唆された。
今回の評価結果より、強い旋回流が発生する場合でも、オリフィス下流で最も減肉傾向が顕著に現れるのは3D以内の範囲であり、現行の減肉管理規格に規定された範囲の肉厚を検査することで、FACによる減肉傾向を検知可能であることが示唆された。
概要 (英文)
Flow-Accelerated Corrosion (FAC) is a pipe wall thinning phenomena to be monitored and managed in power plants with high priority. At present, its management has been conducted with conservative evaluation of thinning rate and residual lifetime of the piping based on wall thickness measurements. In one of the pipe rupture accident caused by FAC in the past, it was reported that the swirl flow which was generated at continuous element of the piping may affect the trend of FAC at the downstream of the orifice. However, its mechanism is not yet revealed, quantitatively. In this study, numerical analysis for continuous piping element was conducted, and the wall thinning profile by FAC was evaluated by calculating mass transfer coefficient and geometry factor. From the results of the numerical analysis, it was found that the piping layout which strongest swirl flow was generated is the continuous piping element which an elbow is placed at downstream of a T-tube. In the case that the strong swirl flow flows into the orifice, biased jet was observed near the pipe wall with the potential to cause increase of local velocity and, therefore, mass transfer coefficient. The index of relative amount of the wall thinning in such case compared to a straight pipe (geometry factor) was about quadruple against single orifice condition without swirl flow effect.
報告書年度
2015
発行年月
2016/07
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
渡辺 瞬 |
原子力技術研究所 原子炉システム安全領域 |
共 |
米田 公俊 |
原子力技術研究所 原子炉システム安全領域 |
共 |
森田 良 |
原子力技術研究所 原子炉システム安全領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
配管減肉 | Pipe wall thinning |
流れ加速型腐食 | Flow accelerated corrosion |
旋回流 | Swirl flow |
物質移動係数 | Mass transfer coefficient |
形状係数 | Geometry factor |