電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
H20011
タイトル(和文)
高圧配電線における事故点標定の高精度化 -試験装置の開発とその有効性の検証-
タイトル(英文)
Improvement of Fault Point Localization for Distribution Line - Development of Ground Fault Testing Devices and Verification of Their Effectiveness -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背景
配電線で地絡事故が生じた場合,事故点の探査に多大な時間を費やしている。この問題を解決するため,電力会社・メーカは,センサ開閉器を活用した地絡の事故点標定手法の検討に協同して取り組んでいる。当所では,事故点標定手法を検討するための地絡試験を実施する過程で,次の課題のあることが分かってきた。試験では,線路と大地間に設置した開閉器を投入することで地絡を模擬するが,地絡時の対地電圧位相を制御できないことから再現性に課題があった。また,地絡サージを検出して事故点を標定するサージ到達時間差解析を行う場合,センサ開閉器の変流器は,商用周波の電流を測定対象に製作されているため,サージを時間精度良く検出できないという課題があった。
目的
地絡試験を再現性良く実施できる新型地絡発生装置と地絡サージを時間精度良く検出するセンサを開発する。これらの検証として地絡試験を実施し,サージ到達時間差解析による事故点標定精度の観点から有効性を確認する。
主な成果
1. 新型地絡発生装置と地絡サージ検出センサの開発
(1) 新型地絡発生装置の開発
地絡対象相の対地電圧と同期して,開閉器内部の3接点を独立に制御することを特徴とする。
(2) 地絡サージ検出センサの開発
地絡事故が発生した際,配電線には事故点から地絡サージが伝搬する。地絡サージ検出センサは,ロゴスキーコイル方式を採用することで,サージの測定に特化した周波数特性となるよう製作し,複数地点に設置できるよう離線作業が不要で,安価であることを特徴とする。
2. 地絡試験による開発品の有効性の検証
開発品の有効性を検証するため,当所赤城試験センターの試験用配電線路を用いた地絡試験を実施した。事故点では,新型地絡発生装置の制御により,任意の対地電圧位相で地絡を発生できることを確認した。また,測定点のセンサ開閉器の変流器*4と地絡サージ検出センサの各出力波形を基に,地絡サージの伝搬速度を算出し,事故点を標定した。開発したセンサは,理論値に近い伝搬速度が得られており,精度向上が図られることが分かった。
以上より,当所で実施する地絡試験の課題が解決されるとともに,地絡サージ検出センサを用いることで実系統での事故点標定の精度向上が期待できる。
概要 (英文)
報告書年度
2020
発行年月
2021/08
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
田所 兼 |
電力技術研究所 大電流・アーク現象領域 |
共 |
市川 路晴 |
赤城試験センター |
共 |
福島 健太郎 |
エネルギーイノベーション創発センター 配電システムユニット |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
配電線 | Distribution line |
地絡事故 | Ground fault |
地絡サージ | Ground fault surge |
事故点標定 | Fault point localization |