電力中央研究所

報告書「電力中央研究所報告」は当研究所の研究成果を取りまとめた刊行物として、昭和28年より発行されております。 一部の報告書はPDF形式で全文をダウンロードすることができます。

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H20006

タイトル(和文)

アークから周囲への熱的影響評価における熱反応フィルムを用いた簡易熱センサの適用可能性

タイトル(英文)

Development of a simple heat sensor with a heat-reactive color film for the evaluation of the thermal influence of fault arcs on the environment

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背  景
電力流通設備では,万一の短絡故障時にも公衆災害に至らない安全・安心な設備形成が望まれている。このため,当所では,電力会社等からの要請により,様々なアーク試験を実施している。ここで,広域空間や多地点,電気機器設備内の閉空間等におけるアークからの熱的影響の定量評価ができれば,電気機器の耐アーク性能向上の検討等に有用であるが,既存の評価手法では現実的に困難である。そこで,当所では,熱量計と異なり測定機器が不要で,定量測定できる簡易な熱センサの開発を行っている。
目  的
市販の熱反応フィルムに着目し,これを用いた簡易熱センサを試作すると共に,簡易熱センサの反応色と受熱量の関係の定量化手法を考案し,アークが熱源の場合における反応色と受熱量の関係を把握する。
主な成果
1. 簡易熱センサの試作
熱反応材を熱反応フィルムとし,これに保護フィルムとしてポリイミドフィルムを重ね,断熱材で挟んだ単純な構造の簡易熱センサを試作した。
2. 簡易熱センサの反応色と受熱量の関係の定量化手法の考案
熱量制御が容易な石英ヒータを熱源として簡易熱センサと熱量計を曝露し,熱量計で得られる受熱量を基準として,簡易熱センサの反応色を調べた。反応色は,その発色原理に基づき,シアン,マゼンタ,イエロー(以降,C,M,Y)の諧調で現した。これらの値は,受熱量に対して極大や飽和を示したが,M×Y/Cのパラメータを導入することにより,反応色と受熱量の関係を一意に現せることを見出した。これらにより,簡易熱センサの反応色と受熱量の関係の定量化手法を考案した。
3. アークが熱源の場合における簡易熱センサの反応色と受熱量の関係の把握
アークを熱源として簡易熱センサを曝露し,上記2.で得た手法を用いた結果,簡易熱センサの反応色を現すM×Y/C値は,受熱量に対して単調増加となる関係を得た。
以上より,簡易熱センサを試作すると共に,反応色が受熱量に対して一意となる関係を把握でき,アークからの熱的影響評価に簡易熱センサを適用できる見通しを得た。

概要 (英文)


報告書年度

2020

発行年月

2021/08

報告者

担当氏名所属

古川 静枝

電力技術研究所 大電流・アーク現象領域

田所 兼

電力技術研究所 大電流・アーク現象領域

市川 路晴

赤城試験センター

キーワード

和文英文
簡易熱センサ Simple heat sensor
熱反応フィルム Heat reaction film
故障アーク Fault arc
熱的影響評価 Thermal influence evaluation
熱量 Heat energy
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