電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H18016

タイトル(和文)

火山灰の付着による送電用がいし絶縁性能への影響評価-降灰付着特性と注水フラッシオーバ特性-

タイトル(英文)

Influence of volcanic ash deposits on insulating performance of transmission insulators - Properties of volcanic ash deposition and flashover in wet condition -

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

背 景
日本列島は、世界有数の火山発生地域であり、大規模噴火による電力設備への影響が懸念される。架空送電設備においては、噴火時の広範囲にわたる降下火山灰に起因したがいし絶縁性能の低下などが想定される。このため、その影響範囲を見極め、設備対策あるいは復旧対応策を整備することが必要であり、大規模噴火に伴う降灰量の分布推定や、がいしへの火山灰付着特性とがいし耐電圧特性への影響を把握することが課題とな っている。
目 的
火山種類の違いによる降灰の特徴等を整理するとともに、実際の火山灰試料を用いた人工試験の実施により、がいし種類、設置角度、湿潤条件等の違いによる火山灰付着特性への影響を評価し、火山灰付着時のがいしフラッシオーバ特性を明らかにする。
主な成果
1. 火山灰の特性評価とがいし絶縁影響が懸念される火山の分類
国内で採取された火山灰試料 3 種(阿蘇山、霧島山新燃岳、桜島)(注1)について、組成分析や磁器プレートへの付着特性を比較した結果、不溶性物質付着密度(NSDD)は最大2倍程度、等価塩分付着密度(ESDD)は最大80倍程度の差があることが確認できた。また、このNSDD/ESDD比により、火山灰種類を特徴付けることが可能であり、がいし絶縁性能への影響が懸念される国内の活火山を、酸性火口湖を有し、火山ガス(SO2)放出量が多いなどの特徴と、その噴火発生頻度に基づき分類できることが分かった。
2. がいしへの火山灰付着特性評価
がいし試料に対する人工降灰付着試験法を開発するとともに、実際の火山灰試料(注2)を用いた試験により、がいし種類(懸垂がいし、長幹がいし)や設置角度の違いによる火山灰付着特性を比較した。その結果、懸垂がいしは、長幹がいしに比べ、火山灰の付着量が多く、設置角度が大きくなるのに伴い、その付着量は増大する傾向が見られた。特に、懸垂がいしの場合、ヒダ付きの笠下面を降灰源に向けた条件(-30°および-60°)で付着量が著しく増大することが分かった(図1、図2)。
3. 火山灰付着時のがいしフラッシオーバ特性評価
火山灰付着がいし試料に対する注水試験(注3)により、漏れ電流の時間変化およびフラッシオーバ特性を評価した。その結果、がいし表面が湿潤するのに伴い、その抵抗値が急激に低下(漏れ電流が増大)し、その後、次第に回復する様子が認められた(図 3)。また、長幹がいしでは、がいしの真横から火山灰が付着した場合に、最もフラッシオーバ電圧が低く、懸垂がいしでは、笠下面側から火山灰が付着した場合に、最もフラッシオーバ電圧が低くなる傾向が見られた(図 4)。これらは、湿潤時の火山灰の流れ落ちに
伴い、導電路が形成され易いか否かの違いが影響したものと考えられる。
注1:阿蘇山試料(2016/10)、新燃岳試料(2017/10)、桜島試料(2016/4)とも噴火直後に採取。注2:ESDD/NSDD比が最も高い阿蘇山試料(2016/10 採取)を使用。注3:注水量:約0.01 mm/min.、平均粒子径:65~110 µm。

概要 (英文)

Transmission lines have often suffered flashovers caused by volcanic ash deposits on the insulators. Understanding of the influence of volcanic ashes on insulating performance, and construction of mitigation and/or restore measures against the flashover incidents are needed. In this research, we investigated properties of volcanic ash deposition on some transmission insulators and their flashover in wet condition by some artificial tests using actual volcanic ashes.
Material properties of three recent volcanic ashes from Aso, Shinmoedake (Kirishima) and Sakurajima volcanoes were evaluated and their deposition property onto a porcelain surface were compared. Equivalent salt deposit density (ESDD) and Non-soluble deposit density (NSDD) were varied much depending on the ashes. An artificial test method to deposit volcanic ashes on insulator samples was proposed and deposition rate against insulator types, inclination degrees and the surface conditions were measured. Greater amount of volcanic ash was found to deposit on the wet surface of inclined suspension insulators, compared to tension insulators.
Flashover tests of the ash deposited insulators in wet condition were conducted by pouring water at a constant rate. Time variation of the surface resistance and flashover voltage property of the insulators were evaluated. It was found that the insulator types and the inclination degrees directly affected to the flashover voltage of the ash deposited insulators.

報告書年度

2018

発行年月

2019/05

報告者

担当氏名所属

本間 宏也

電力技術研究所 気体絶縁・放電現象領域

三好 雅仁

電力技術研究所 気体絶縁・放電現象領域

土志田 潔

地球工学研究所 地圏科学領域

服部 康男

地球工学研究所 流体科学領域

竹内 晋吾

地球工学研究所 地圏科学領域

足立 和郎

電力技術研究所

平口 博丸

地球工学研究所

上澤 真平

地球工学研究所 地圏科学領域

キーワード

和文英文
がいし Insulator
火山灰 Volcanic ash
フラッシオーバ Flashover
絶縁性能 Insulating performance
送電線 Transmission line
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