電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
H17007
タイトル(和文)
レーザー誘起ブレイクダウン分光によるがいし付着物質計測技術の開発(その3)-遠隔計測におけるひだ構造を有する懸垂がいしへの適用性検討-
タイトル(英文)
Development of Measurement Technology of Substances Attached on Insulator by Laser-Induced Breakdown Spectroscopy (III) -The study of remote measurement for the application to cap and pin insulator with lib-structural surface-
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
背 景
がいしやブッシングの汚損は、絶縁性能の低下を招くことになり、電力系統の信頼性に影響を与えるため、汚損物の同定や定量計測は重要な項目である。現在、がいしの汚損状況評価は、パイロットがいしの汚損採取により行われているが、この方法は間接計測である。レーザー誘起ブレイクダウン分光(LIBS)を用いることにより、がいし付着物質を遠隔から計測することが可能であり、これにより、課電中のがいしに対する汚損状況を直接評価できることが期待される。これまで、磁器がいしを模擬した平板サンプル(磁器製)を用い、距離20 mまでの遠隔計測の可能性を示した。がいしは複雑な形状を有するため、実用化に向けては、実がいしに対するLIBS 計測の適用性を評価する必要がある。
目 的
LIBSを用いて、懸垂がいしに付着した塩分の遠隔計測を行い、その適用性を明らかにする。
主な成果
1. 発光強度のレーザー光焦点距離依存性
距離10 mの遠隔計測において、レーザー光の焦点距離の変化が発光強度に与える影響を評価するため、平板サンプルを用いてレーザー光の焦点距離を変化させた実験を行った。その結果、250 mm懸垂がいし下面のひだの先端部と谷部の高低差である25 mm程度焦点距離が変化しても、発光強度に大きな変化はないことを確認した。
2. 磁器がいし付着塩分中Cl発光のSDD依存性
人工汚損させた250 mm懸垂がいしに対して、LIBSを用いて距離10 mにおける遠隔計測を行った。がいし下面に対し、ひだの先端部(4箇所)と谷部(3箇所)それぞれにおいて、45度間隔で8方向にレーザー光を照射し、合計56点における付着塩分中のCl(837.59 nm)の発光強度を計測し、平均値を求めた。その結果、Clの発光強度は塩分付着密度(SDD)に対して単調に増加した。また、これまでに平板サンプルを用いて計測した結果と比較し、発光強度の絶対値は異なるものの、SDD に対する発光強度の変化は同様の傾向を示した。
以上の結果により、本手法は、複雑な形状を有する懸垂がいしに対しても適用可能であることを示した。
概要 (英文)
We evaluated the performance of laser-induced breakdown spectroscopy (LIBS) for the application to the measurement of Salt Deposit Density (SDD) of porcelain insulators. Porcelain insulators deposited with sodium chloride and Tonoko, one of polishing powders that can simulate Non-Soluble Deposit Density (NSDD), were used as a target. First, using a flat surface sample as a target, we evaluated the effect of focal length of the laser on the LIBS performance for the application to the lib-structural surface of a cap and pin insulator. The experimental results suggest that the difference in the focal length alignment due to the lib structure does not affect the LIBS performance. In case of using a cap and pin insulator as a target, the emission intensity of Cl (837.59 nm) increased almost monotonically with SDD, and the emission intensities at the top and bottom surfaces of the insulator showed the same trend versus SDD. These results suggest that the LIBS technique can be applied to the bottom surface of cap and pin insulators.
報告書年度
2017
発行年月
2018/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
藤井 隆 |
電力技術研究所 高エネルギー領域 |
共 |
屋地 康平 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
協 |
江藤 修三 |
電力技術研究所 高エネルギー領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
懸垂がいし | Cap and pin insulator |
遠隔計測 | Remote measurement |
レーザー誘起ブレイクダウン分光 | Laser-induced breakdown spectroscopy |
塩分付着密度 | Salt deposit density |
塩素 | Chlorine |