電力中央研究所

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電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)

報告書データベース 詳細情報


報告書番号

H15011

タイトル(和文)

LIBSによる鋼溶接部の炭素濃度計測法の開発

タイトル(英文)

Development of Analysis Method of Carbon Concentration at Weld Zone of Steel by LIBS

概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)

クリープ強度特性および熱的特性が優れている高クロム鋼は、火力発電所用配管部材に使用されており、そのクリープ損傷を評価することは余寿命評価にて重要である。熱時効による高クロム鋼の軟化では炭素濃度が影響する可能性があり、炭素濃度分布の把握が継手部のクリープ特性評価のための有効な手法となることが期待されている。しかし、元素濃度を求める際に一般的に用いられる電子線分析法の場合、軽元素である炭素の検出感度が十分でない場合が多く、特に炭素濃度が低い溶接部を計測することは困難であった。レーザ誘起ブレイクダウン分光法(LIBS)を用いることにより炭素濃度の計測に適用できる可能性があるが、LIBSでは炭素と鉄等の輝線の重畳を避けるために、真空装置を用いて真空紫外波長域にある炭素の輝線を計測することが一般的である。本研究では、高クロム鋼溶接部試験片の炭素濃度をLIBSにより大気環境下で計測し、その適用性を確認した。実験では、大気環境下で計測するために分光器内部を窒素ガス雰囲気に置換して、炭素の輝線を計測した。計測において同一箇所にパルスレーザ光を照射し続けると炭素の発光強度が大きく減少したが、照射100回以降に得られた輝線を発光強度の算定に用いることで、発光強度が安定することが分かった。炭素の計測に最適な条件で炭素鋼と純鉄を用いて炭素濃度に関する検量線を求め、高クロム鋼溶接部の炭素濃度を求めた結果、LIBSによる定量値と溶接部の炭素濃度の公称値はおおむね一致した。

概要 (英文)

A high chromium steel is widely used for the pipe in the steam-power generation. From the view point of the long-term use of the high chromium steel, the creep rupture of the weld structure in the steel is one of the important issues. The mechanism of the creep failure have been widely studied by use of the miniature model of the welded joints, and the microstructures of the creep at the heat affected zone were analyzed by using the transmission electron microscope and the energy dispersive X-ray analysis (TEM-EDX). Although the carbon in steel is one of the important elements for the characteristics of a recrystallization with heat aging, the methods by use of an electron beam such as TEM-EDX and Electron Probe Micro Analyzer (EPMA) have a difficulty to analyze the light element such as carbon. In this work, the carbon analysis method was developed by laser-induced breakdown spectroscopy (LIBS), and the applicability to low-carbon alloy was evaluated. The emission spectrum of carbon in ultra-violet wavelength region was measured with high spectral intensity by filling the nitrogen gas into the spectrometer. The carbon emission intensity decreased drastically when the number of laser pulses was lower than 100 times. Therefore, the use of the spectra measured with the laser pulses over 100 times was effective for the stable measurement of the emission intensity. The optimization of LIBS measurement conditions contributed to measure the carbon concentration at the welded joint of high chromium steel.

報告書年度

2015

発行年月

2016/07

報告者

担当氏名所属

江藤 修三

電力技術研究所 高エネルギー領域

森 昌史

材料科学研究所

山田 進

材料科学研究所 構造材料領域

三浦 靖史

材料科学研究所 構造材料領域

屋口 正次

材料科学研究所 構造材料領域

高橋 由紀夫

材料科学研究所

キーワード

和文英文
レーザ誘起ブレイクダウン分光法 Laser-induced breakdown spectroscopy
炭素濃度 Carbon Concentration
Steel
微量分析 Microanalysis
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