電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
H15006
タイトル(和文)
電力用CVケーブルにおける水トリー人工劣化手法の提案(その2)-加熱・ヒートサイクルによる水トリー伸展手法の提案-
タイトル(英文)
Proposal of Artificial Water Tree Degradation Method for XLPE Power Cables (Part 2) - Investigation of Effects of Temperature and Heat Cycles on Water Tree Propagation -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
本研究では,従来の水トリー劣化手法を応用してCVケーブルの製造過程に含まれる欠陥から絶縁耐力の低下をもたらす水トリーを人工的に伸展させる条件を明らかにするため,乾式架橋・三層同時押出方式の22 kV撤去CVケーブルの外部半導電層から水分を供給し,室温,50 ℃,70 ℃,室温~50 ℃のヒートサイクル,室温~70 ℃のヒートサイクル下で高周波の交流電圧を印加し,水トリーを発生させた。
その結果,70 ℃および室温~70 ℃のヒートサイクル条件で水トリーの伸展が顕著であり,その長さは約4 mmに達し,ヒートサイクルの方が実ケーブルで絶縁耐力の低下をもたらす水トリーに形状が近いと推察された。また,70 ℃を付与した試料で水トリー伸展が顕著であった原因を調べるため,絶縁体の熱膨張や吸熱反応,結晶構造の温度依存性を調べた結果,70 ℃付近において絶縁体の熱膨張が最大となり,結晶構造の変化はあるものの結晶化度はほとんど変化しなかった。そのため,70 ℃では,熱膨張によって非晶質部の体積が増えて水分が拡散しやすくなり,異物近傍で水トリーを構成する水ボイドが生成されやすかったものと考えられる。
以上より,熱膨張が最大となる温度をヒートサイクルの上限温度として本手法により水トリーを人工的に促進させることで,劣化判定基準構築が進むことが期待できる。
概要 (英文)
In order to determine the effective thermal condition for bow-tie water tree from contaminants in insulation of 3.3 to 77 kV XLPE cables, an AC voltage at 13 kV and 1200 Hz was applied to a 22 kV removed XLPE cable at room temperature, 50 ºC and 70 ºC, and under heat cycle between room temperature and 50 ºC or 70 ºC for 90, 212 and 300 days. As a result, it was found that water tree dramatically propagated at 70 ºC, and water trees propagating under the heat cycle seems more harmful than those propagating without the heat cycle. The thermal expansion was the largest around 70 ºC below the melting point of the XLPE and the amount of water diffusing into the insulation may be the largest. Thus, it was concluded that the effective themperature condition was the heat cycle between room temperature and 70 ºC.
報告書年度
2015
発行年月
2016/07
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
栗原 隆史 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
共 |
三坂 英樹 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
共 |
高橋 俊裕 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
共 |
高橋 紹大 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
電力用CVケーブル | XLPE power cables |
水トリー | Water trees |
加速劣化 | Accelerated degradation |
温度条件 | Temperature condition |
劣化診断 | Degradation diagnosis |