電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
H10005
タイトル(和文)
雷インパルス高電圧標準計測システムの構築(その2)-波頭長および波尾長測定の不確かさ-
タイトル(英文)
Construction of Standard Measuring System for Lightning Impulse Voltage (Part 2) - Evaluation of Uncertainty of Virtual-Front-Time and Time-to-Half-Value Measurement -
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
電力機器の絶縁性能検証のためのインパルス耐電圧試験において規定の電圧が機器に印加されたことを保証するため,国際規格IEC60060-2では,測定システムを国家標準と直接または間接的に比較して校正することを義務付けている。このため我が国では,日本高電圧インパルス試験所委員会(JHILL)のもと当所を中心に,国家標準級雷インパルス高電圧標準計測システム(標準計測システム)の完成を目指し,測定の不確かさ評価を進めている。これまでに,その中の波高値測定の不確かさについては評価済みである。一方,残りの波頭長および波尾長測定については,標準分圧器の周波数特性の影響が明らかでなかったため長期安定性および短期安定性を評価できず,不確かさは明確にされていなかった。本報告では,標準計測システムによる波頭長および波尾長測定の不確かさに寄与する要因として考えられ得る7項目を評価した。標準分圧器の周波数特性については直角波応答特性としてこれを取得し,想定される入力雷インパルス電圧微分波形との畳み込み積分を用いて波頭長および波尾長への影響を定量的に評価する手法を新たに提案した。これにより長期安定性および短期安定性による不確かさ評価を可能とした。各項目の評価結果をISO/IEC Guide98-3に基づいて統計的に処理し,標準計測システムによる波頭長測定および波尾長測定の拡張不確かさを求めたところ,それぞれ1.0%,0.8%(包含係数k=2)であった。波高値測定の不確かさも含め,標準計測システムによる測定の不確かさは,基準測定システムにIEC60060-2で要求されている測定の不確かさの1/3以下であった。また,上記の評価結果を高電圧計測の分野を主導するドイツ,フィンランド,オーストラリアの国家標準計測システムと比較し,世界最高の水準であることを明らかにした。
概要 (英文)
The uncertainties of virtual-front-time measurement and of time-to-half-value measurement by a standard measuring system for lightning-impulse high voltage are evaluated. The overall uncertainties of virtual-front-time measurement and time-to-half-value measurement are evaluated to be 1.0% and 0.8%, respectively, with a coverage factor, k, of 2. These values are much less than those required for reference measuring systems in IEC60060-2. Furthermore, these values are as small as those by national standards of other advanced countries.
報告書年度
2010
発行年月
2011/05
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
宮嵜 悟 |
電力技術研究所 電力応用領域 |
共 |
五島 久司 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
共 |
天野 貴明 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
共 |
新開 裕行 |
電力技術研究所 高電圧・絶縁領域 |
共 |
八島 政史 |
電力技術研究所 |
共 |
脇本 隆之 |
東京大学 生産技術研究所 |
共 |
石井 勝 |
東京大学 生産技術研究所 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
標準計測システム | Standard Measuring System |
雷インパルス電圧 | Lightning Impulse Voltage |
不確かさ | Uncertainty |
分圧器 | Voltage Divider |
IEC60060-2 | IEC60060-2 |