報告書番号

H07010

タイトル（和文）

電力設備で生じる放電現象の広帯域電波特性 ‐劣化した配電用がいしから発生する電波雑音‐

タイトル（英文）

Wideband Radiated Electromagnetic Wave Characteristics Generated by Electric Discharge - Radiated Electromagnetic Wave from Faulty Insulator on Distribution Lines -

概要 （図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております）

配電線では雷や台風といった自然現象により劣化したがいしや金具の腐食箇所で火花放電が発生するため，急峻なパルス電流が流れ，広帯域電磁波が放射されることがある。これによる放射妨害の研究はラジオやアナログテレビ，アマチュア無線などの利用周波数の関係から，主にVHF帯域までであった。しかし，近年GHzの周波数帯を利用する携帯電話や無線LANなどのディジタル無線通信が急速に普及しており，また配電線と接近する環境で使用されることも多くなることから，不良がいしから発生する放射電磁波影響の詳細な研究が必要である。
配電線から発生する放射妨害波の原因として事例の多い，２個連耐張がいし金具の連結部の接触不良箇所で発生する放射電磁波の特性を，がいし金具の接触不良を模擬できる装置を開発し，実規模の実験用配電線を用いて明らかにすることを目的として，下記を得た。
1.接触不良模擬装置の開発
実がいしの金具の接触不良箇所から発生する放射電磁波の周波数は2.8GHzまで達している。この周波数特性を再現性良く発生させるために，がいし金具の接触不良を放電ギャップ，磁器部をキャパシタンスで構成した接触不良模擬装置を開発した。本装置は，実がいしと同様の周波数特性を持つ火花放電を連続して発生できる。
2.がいし金具の接触不良により発生する放射電磁波の特性
上記開発装置と実規模の6.6kV実験用配電線（対地電圧3.8kV）を用い，がいし金具の接触不良箇所から発生する放射電磁波の距離依存性を測定した。1000M～1700MHz帯の放射電磁波の電界強度は，配電線からの離隔距離が1mから5mになると約10dB減衰する。また，2300M～2500MHz 帯の電界強度は，配電線から5m以上離れると概ね背景雑音レベルになる。
今後の展開としては，放射電磁波が無線LANなどのディジタル無線通信に及ぼす影響を解明する。

概要 （英文）

Faulty insulators in distribution lines sometimes generate spark discharge. The radiated electromagnetic wave from the spark discharge often influences broadcasting services of radio and television. To clarify the influence of this disturbance wave upon broadcasting service and wireless LAN, the radiated electromagnetic wave from a gap of metal connected part of faulty insulators in 6.6kV full-scale distribution line was measured. Main results are as follows.
1.The frequency spectra of radiated electromagnetic wave near the faulty insulator extend to several GHz.
2.The radiated electromagnetic wave becomes small by leaving from the distribution line.

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