電力中央研究所 報告書(電力中央研究所報告)
報告書データベース 詳細情報
報告書番号
H07007
タイトル(和文)
低コロナ騒音スパイラル線の開発と耐候性評価
タイトル(英文)
Development of Low-Noise Spiral-Wires for HVAC Transmission Lines and Evaluation of Weather-Proof Characteristic
概要 (図表や脚注は「報告書全文」に掲載しております)
超高圧交流架空送電線では,降雨時に電線表面に付着した水滴に起因する“コロナ騒音”が発生することがある。また,強風時には電線の風切り音である“風音”を発生する場合があり,これを低減するために電線にスパイラル線を装着するが,スパイラル線は水を溜め込みやすい性質をもつためコロナ騒音の増大を招く。このため,当所では“コロナ騒音”と“風音”の両者を低減できる低コロナ騒音スパイラル線の開発を進めている。これまでにスパイラル線として従来から使われているアルミ合金を基材に,タングステンドープ酸化チタン溶射皮膜を持つ超親水性スパイラル線を試作開発し,送電線実規模の注水課電試験より,開発品のコロナ騒音低減効果を明らかにしたが,約2ヶ月間の自然暴露で表面にコロナ放電の発生点となる突起が出現するなど,長期的耐候性が問題となっていたため,耐候性に優れた低コロナ騒音スパイラル線を開発し,自然暴露試験により耐候性を明らかにすることを目的とし,以下の結果を得た。
1.スパイラル線基材の選定と低コロナ騒音スパイラル線の試作
スパイラル線基材として,耐候性を考慮し,チタンおよびステンレス鋼を選定した。2種類の基材の表面には良好なタングステンドープ酸化チタン溶射皮膜を形成することができ,中空パイプ状に加工することで,アルミ合金基材の従来品と同等の機械的特性を持つ,低コロナ騒音スパイラル線を試作した。
2.低コロナ騒音スパイラル線の耐候性試験と評価
2種類の試作品と従来品の合計3種類の低コロナ騒音スパイラル線を234日間自然暴露し,耐候性試験を行った。従来品の暴露後の表面には,基材のアルミおよび基材溶出防止用に中間層として溶射したニッケルが堆積し,表面も劣化した。試作品は2種類とも暴露後の表面に基材の溶出に伴う変化はなかった。
以上より,チタンあるいはステンレス鋼を基材に用いることにより,耐候性に優れ,施工性も良い低コロナ騒音スパイラル線が実現できることが明らかになった。
概要 (英文)
Two types of sound noise are sometimes generated from high-voltage AC overhead transmission lines. One is "audible noise" that is caused by corona discharge; the other is "aeolian noise" that is generated under strong-wind conditions. The audible noise is particularly generated from wet conductors. And it has two major components, namely, "random noise" and "hum noise". Hum noise is a pure tone with a frequency that is twice of the power line frequency. It is discomforting to a person because its tone quality does not exist in nature. Spiral wires are set around overhead transmission lines to reduce conductor aeolian noise. However, spiral wires may increase the intensity of audible noise because of corona discharge from water dropping on spiral wires during rain.
The purpose of this study is development of a high weather-proof spiral wire (hereafter referred to as low-noise spiral wire) that reduces both "aeolian noise" and "audible noise".
報告書年度
2007
発行年月
2008/06
報告者
担当 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|
主 |
宮島 清富 |
電力技術研究所 高電圧・電磁環境領域 |
共 |
樋口 貞雄 |
材料科学研究所 |
共 |
田辺 一夫 |
電力技術研究所 高電圧・電磁環境領域 |
キーワード
和文 | 英文 |
---|---|
コロナ放電 | Corona discharge |
コロナ騒音 | Audible noise |
風音 | Aeolian noise |
架空送電線 | Overhead transmission line |
酸化チタン | Titanium oxide |